支援者・地裁での第5回出廷—その1

この度、本会議支援者の訴訟(東京地方裁判所 平成20年(ワ)第36662号 損害賠償等請求事件)については、平成21年6月4日(木)午後2時30分より東京地方裁判所民事第28部で、原告第2回弁論準備手続(通算第5回)が行われました。

~出廷の実際状況~

当方からは、Rescue会議支援者担当弁護士1人、Rescue会議支援者本人、被告光栄側からは、委任弁護士3人、光栄社担当方2人らが出席しました。

1.原告第2準備書面、原告陳述書及び関連証拠の提示。

2.裁判官が被告側に対して、再び反論するのかについて尋ね、被告側弁護士はなんとしても再反論したいと回答した。

3.当方(原告側)弁護士は被告側が再反論したいとの申し出について、「双方は事実関係に殆ど争っておらず、法的解釈のみ争っているのであり、また新たな証拠の提示もほぼ考えられないため、これ以上の反論は無意味である」と発言した

4.裁判官は、被告光栄にもう一度反論する機会を与えると回答。

5.当方弁護士は直ちに:「原告陳述書内でもはっきり申し上げた通り、今回の事件及び裁判は、原告にとって、精神的・肉体的に多大の負担をかけており、事実関係が明らかで何ら新しい証拠がない以上、今回で結審をすべきだ」と反論した。

6.裁判官は「公平を期すため、原告訴状→被告反論→原告再反論→被告再々反論・・・」という順で裁判が進められており、最終的には被告の反論で結審するのが公平だと主張し、改めて被告へ反論の機会を与えると言い渡した。ただし、原告の負担についても考慮し、次回の法廷で結審すると約束した。

7.裁判官、双方の代理人が協議し、次回の法廷は7月8日(水)朝10時に開かれ、そのまま結審すると決まった。

以上によりまして、次回7月8日に、本件裁判の1審が結審する予定であり、正式の判決は結審後2-3ヶ月で下される、つまり、今年の9-10月に、1審判決が判明する段取りとなっている。

なお、原告Rescue会議支援者側の答弁の概要は以下のとおりです:

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2009年6月4日に法廷が開かれる直前の5月30日に、原告側代理人から、法廷の準備文書を被告側、そして裁判所に送付した。

~第5回法廷での原告側の答弁~ 20000文字前後で計29ページ分、(他20000文字に及ぶ原告陳述書と、証拠文書多数あり)

[第一頁~第三頁]— 本件禁止条項の違法性、法的拘束力について

(1) 本件禁止条項の法的拘束力について

原告は準則Ⅰ-1-2 1.の「利用規約が明瞭に表示されている」はスクロールしなくても同意ボタンがクリックできなくすべきとは書かれておらず、原告の独自の見解であると主張したが、これに対して、規約が長文となりウェブサイトの画面上で一覧できる形で開示できない場合にはスクロール機能を利用して全文を閲読した場合でないと契約締結ができないようにする必要があるとの見解を、インターネットに関する法分野を取り扱っている多くの文献を提示し、有力の見解であると証明した。

(2) 本件禁止条項が消費者契約法等により無効であることについて

被告は今まで一貫として、「コーエーの規約が仮に事実上自らに無限大の権利を与えているとしても、あらゆる現行法・判例で明確に禁じていない以上」、消費者契約法上の「現行法や現行の判例と比較して消費者の権利を制限する」とは当たらないと主張した。(=「民法、商法その他の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限」)

しかしながら、日本弁護士連合会編「コンメンタール消費者契約法」や同編「消費者法講義第2版」などによれば、消費者契約法10条は、問題とされる契約条項がなければ消費者に認められていたであろう権利義務関係と問題の契約条項が規定する権利義務関係とを比較して、後者が消費者の利益を制限しまたは義務を加重する場合に広く適用される規定であり、同条項の「公の秩序に関しない規定」と比較できる場合に限られないとあった。

また、仮に「公の秩序に関しない規定」との比較が必要であるとしても、本件禁止条項中の、「当社による(り)認められる場合」(9.(2)(b)、15.(d))、「当社の裁量において」(9.(2)本文)との文言は、債務不履行に該当する客観的事実が存在しなくても運営者が「不利益・迷惑等を及ぼす」等と判断しさえすれば一方的に解除できる点で、債務不履行事由という客観的事実の存在を必要とした民法540条が適用される場合に比べ、原告被告間で締結された本件ゲームに関する本件使用許諾契約に基づいて、原告が有する自己が育成したキャラクターを使用する権利の行使を不当に制限するものである。

さらに、本件禁止条項中の、「事前通知を行なうことなく」(9.(2)本文)との文言は、運営者の解除が事前の催告なしで認められる点で、相手方に対する相当の期間を定めた催告及び解除権行使の意思表示を必要とした民法540条、541条が適用される場合に比べ、原告の上記権利の行使を不当に制限するものである。

なお、本件では本件利用規約自体は解除されていないものの本件キャラクターにより本件ゲームを以後プレイできなくなる点で契約の一部解除に該当する。また、被告が原告に対してしたと主張する「警告」は債務の履行を促すものではなく削除する旨が断言されている点で催告として無意味であり、そもそも本件規約の文言上「事前通知を行なうことなく」とされているから、本件規約は文言上消費者契約法10条の「民法、商法その他の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限」に該当する。

[第三頁~第五頁]— 本件禁止条項は「民法第一条第二項に規定する基本原則」に反する

本件禁止条項は、以下の事情から「民法第一条第二項に規定する基本原則に反し」に該当する。

①        本件使用許諾契約において、利用者は自己のキャラクターを育成して長期的・継続的に本件ゲームをプレイすることを予定しており、ささいな債務不履行があった、それも運営者に一方的に判断された場合ですら、常に一部解除が認められるのでは、利用者の不利益が大きすぎること

②        債務不履行事実の存否は裁判所により客観的に判断されるべきものであるにもかかわらず、契約の一方当事者にすぎない運営者が「不利益・迷惑等を及ぼす」等と判断しさえすればその判断の合理性を問わずに何時でもキャラクターを削除することができるとの条項は、当事者間の公平をあまりに害すること

③        通通常の利用者も運営者の一方的判断で、(冤罪を含め)運営者の一方的判断でキャラクターデータを含めたあらゆる電磁的記録を削除できるとの条項を同意することはありえず、本件禁止条項を承諾することは通常の利用者の合理的意思に反すること

④        本件禁止条項が、「当社又は他のユーザーに何らかの不利益・迷惑等を及ぼすもの」、「他のユーザーが嫌悪感を抱く、又はそのおそれ」という極めて不明確な文言が多用されており、しかもその該当性を運営者が一方的に判断してよいとすると利用者にとって規約違反に該当するかが全く予見できないこと

⑤        本件禁止条項以外にも本規約には「2.本規約の変更」「5.登録不承認と登録取り消し」「6.ユーザー資格の取消しと一時停止」「8.ユーザーの自己責任の原則」、「10.サービスの不保証」、「11.本サービス内容の変更」、「12.本サービスの中断」、「13.本サービス内容の中止」、「17.免責事項」、「19.準拠法と紛争解決」など消費者契約法8条又は10条により無効とされるべき条項が多数存在する。また、形式面から見ても、本件規約がそれ自体長文かつ複雑なうえ、本件禁止条項がスクロールボックス内の規約を下にスクロールさせなければ表示されない見えにくい位置に掲載されている点で消費者契約法3条にも違反する。さらに、本件ゲームに適用されるとされている規約は本件規約のほか、『大航海時代 Online』使用許諾契約、『大航海時代 Online』著作物利用規約、『大航海時代 Online』掲示板利用規約、『大航海時代 Online』サービス利用規約があるが、これらの規約を別々に制定する意味が不明であるほか、例えば、本規約19.は横浜地方裁判所を専属管轄裁判所としているのに対して、『大航海時代 Online』サービス利用規約第13条(5)は東京地方裁判所を専属管轄裁判所としているなどと、規約相互が矛盾抵触し、これらの大量の規約により消費者を混乱させ、被告に有利な条項をその中に隠蔽している点でも消費者契約法3条にも違反するなど、本件規約全体が消費者契約法の趣旨に反する形式・内容となっていること

⑥        本件規約が運営者の都合のみで一方的に作成した定型的な約款であり利用者と運営者は条項の修正等について交渉する余地がなく、利用者は「承諾する」をクリックする以外に本件ゲームを利用する方法がないこと

⑦        被告が、ゲームソフトの企画・開発・販売等を行ない海外にも多数の関連会社を有する東証一部上場会社であり、個人である原告に対して法律的知識、経済力等の点で比較にならないほど優位に立っていること

以上より、本件禁止条項は、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の権利を一方的に制限するものであるから、消費者契約法10条により無効である。

また、本件禁止条項は、上記①ないし⑦の事情から、公序良俗にも違反するものであり、民法90条によっても無効である。

なお、台湾においても、台湾経済部及び台湾消費者庁が台湾消費者保護法に基づき出したオンラインゲーム規約に対する強制力と罰則のある政令「線上遊戲定型化契約應記載及不得記載事項」中の貳、不得記載事項の八において、「理由なく任意に一方的に契約の中止をすることができる規定」などは無効である旨の明文規定がある。

[第五頁]— 本件禁止条項について原告に錯誤があることについて(※ 原告は「同意ボタンをクリックした=運営側を『神』として認めたとは考えていなかった」、しかし、光栄側は事実上「同意ボタンをクリックした=光栄を『神』として認めた」と主張していることから、「錯誤」がある)

被告は、特定の条項についてのみ意思表示の錯誤があったとする原告の主張は失当であると主張する。

しかしながら、錯誤無効につき、一部無効が認められることは判例上明らかである(最判昭和54年9月6日民集33巻5号630頁)。したがって、被告の主張は失当である。

[第五頁~第六頁]— 本件禁止条項該当性について(原告が本当に本件禁止条項を違反したのか)—概要

仮に本件禁止条項の全部または一部が原告に対して拘束力を有し、かつ有効であるとしても、本件ゲームは利用者が長期間(数千時間以上)にわたりプレイすることを前提として締結される継続的契約である。また、利用者は、自己が育成したキャラクターを継続的に使用して本件ゲームをプレイできることを前提として本件使用許諾契約を締結し継続的に利用料を支払っており、被告が利用者の育成したキャラクターを削除することは当該利用者にとって本件ゲームの著作物を使用する権利そのものを奪うに等しい重大な影響を及ぼす。

したがって、本件禁止条項に該当するというためには、被告や他の利用者に不利益・迷惑を及ぼす抽象的な可能性では足りず、具体的かつ現実的な危険性がなければならず、また、その判断は被告の主観に基づくものではなく、中立的第三者である裁判所により客観的に判断されなければならない。(つまり、双方がともに当事者であり、判断は中立的第三者、つまり裁判所がすべきところ、KOEIは現行法で明文化していないことを理由に、自らを裁判所よりも上の立場にあるかのような主張をし、裁判所と司法の存在を事実上無視したのではないか?ということです。)

そして、その判断の際には

①「Gestapo」の用語の使用が現実世界で他人に与える影響

②本件ゲーム内におけるキャラクター名の表示に対する他の利用者の認識

③本件ゲーム内の世界観との調和

④被告が開発する他のゲームの性質及び他の利用者のゲームに対する認識

⑤本件ゲームの利用者の実際の反応等を考慮して、当該キャラクター名の使用が本件ゲームの通常の利用者に嫌悪感を与える具体的かつ現実的な危険性を有するか否かを判断すべきである。

なお、本件禁止条項該当性は請求原因事実に対する抗弁事項として被告が主張立証しなければならず、原告は反証で足りる点にも留意すべきである。

[第六頁~第七頁]— 本件禁止条項該当性について(原告が本当に本件禁止条項を違反したのか)—①「Gestapo」の用語の使用が現実世界で他人に与える影響

「Gestapo」の用語の使用それ自体は、我が国において適法であり、また、一般人に与える嫌悪感も皆無に等しい。

まず、民主主義を否定する思想であっても憲法19条(思想・良心の自由)のもとでは絶対的に保障される。また、思想の表明としての外部的行為は、憲法21条1項の表現の事由の一環として保障され、当該行為が公共の福祉に反する場合には規制され得るものの、行為の基礎となった思想、信条を理由に規制されることはない(渋谷暴動事件上告審判決最判平成2年9月28日判タ746号107頁参照)から、ナチスドイツの秘密警察を連想させる用語の使用自体が法令違反行為に該当することはない。

さらに、日本においては、被告がナチスドイツの登場する「ヨーロッパ戦線」等のゲームを公然と販売し(甲16ないし甲18)多数の国民が購入していること、ナチスドイツの軍服を着た人物が公然とテレビ出演したり漫画やアニメ等でもナチスドイツを連想させる人物が頻繁に登場していること、放送禁止用語としてナチスドイツ関連の用語は上げられていないこと(甲30)などから、日本国民のナチスドイツを連想させる表現に対する抵抗感は皆無に等しい。特に、「Gestapo」は、ヨーロッパにおいてもその使用は許容されている(甲13、甲14、甲15)ことから、ナチスドイツを連想させる用語の中でも特に一般国民に与える抵抗感は乏しい。

このように、日本国内で「Gestapo」との用語を使用することは法令に違反せず、かつ、他人に不快感・嫌悪感を与えることも皆無に等しい。

これに対して、被告は、ナチスグッズ販売サイトでの注意書きの記載を根拠にナチスドイツに関する表現に対して日本国民が少なからぬ抵抗感、嫌悪感を有している事実が現れているなどと主張する。

しかしながら、当該サイト運営者は、販売されている商品にドイツにおいて禁止される「SS」との文字やハーケンクロイツが付されていることを考慮して、または、現実の街中で軍服を着て歩くなど場の雰囲気にそぐわない行為などに対して注意を発したものであり、ナチスドイツを連想させる用語の使用自体に関して警告を発したわけではない。

また、被告が真にナチスドイツに関する表現自体に対して日本国民が少なからぬ抵抗感、嫌悪感を有していると判断しているのであれば、ナチスドイツ関係の表現が多用される「ヨーロッパ戦線」、「提督の決断」シリーズにおいて同様の注意書きをすべきところ、被告はこれらのゲームにおいてかかる注意書きをしていない。

[第七頁~第八頁]— 本件禁止条項該当性について(原告が本当に本件禁止条項を違反したのか)—②本件ゲーム内におけるキャラクター名の表示に対する他の利用者の認識

被告は、キャラクターの頭上のキャラクター名を非表示にする設定がないこと、キャラクターの容姿では個々のキャラクターを判別できない場合があること、本件ゲームでは複数の利用者が艦隊を組んで航行したり協力してクエスト(課題)を達成するなど利用者間での協力や交流が予定されているから、他の利用者のキャラクター名に着目しなければならず、利用者はキャラクター名を認識することが想定されていると主張する。

しかしながら、利用者がキャラクター名を認識することが想定されていることと利用者がキャラクター名に関心を示すかは別個の問題である。

他のキャラクターとの会話内容などと異なり、キャラクター名はその同一性を判断するための情報の一つに過ぎず、通常の利用者が関心を示す性質のものではない。

また、本件ゲームで他の利用者と艦隊を組んだり協力してクエストを達成するか、単独でこれらを行なうかは利用者の自由であり、また、どの利用者と協力するかも自由である。したがって、万が一利用者の中に自己が不快に感じるキャラクター名を使用しているキャラクターとは協力したくないと考える者が存在しても、その利用者は、不快に感じる名称のキャラクターと協力せずにいくらでも存在する他のキャラクターと協力すればよい。

被告自身も、「自分とプレイスタイルの合わないキャラクターに無理に合わせる必要もありません。」として協力したくないキャラクターと協力する必要がない旨を表明している(甲33)。

したがって、本件キャラクターの名称の故に他の利用者のゲームプレイの幅が制約されることはなく、ましてや本件ゲームの利用者が不快に感じて退会したり、ゲーム空間への評価が低下することなどはあり得ない。

[第八頁~第十頁]— 本件禁止条項該当性について(原告が本当に本件禁止条項を違反したのか)—③本件ゲーム内の世界観との調和

本件ゲームは、その世界観が現実世界に近い恋愛シミュレーションゲームなどではなく、ゲーム内の他のプレイヤーキャラクターとの戦闘などによりキャラクターを成長させるゲームであり現実の日本とは全く異なる世界観を有する。すなわち、本件ゲーム空間内ではプレイヤーキャラクター間の海上戦、陸上戦が日常茶飯事に行なわれており、国を挙げての大規模な海上戦(大海戦)などもある。また、本件ゲームでは海賊行為(被告の解説書によれば「危険海域において賞金首以外のプレイヤーキャラクターを攻撃する行為」)が許容されており、被告もこれを積極的に宣伝している。

ところが、海賊行為は現実世界においては国際法上違法であり(海洋法に関する国際連合条約105条)、その取締りのために安保理決議がなされるなど世界規模で海賊行為阻止が行なわれている。また、日本国の国内法上も強盗殺人罪、強盗致傷罪等の重大犯罪に相当する。

このように、(仮に「Gestapo」との名称が社会において否定的評価を受けるとしても)そのような名称のキャラクターが存在することは、現実世界における重大犯罪が公然と行なわれている本件ゲーム空間の世界観と調和すると考えるのが通常の利用者である。

また、本件ゲームでは、賞金首以外のプレイヤーキャラクター等を撃沈・拿捕すると加算される「悪名」という数値が存在し、「悪名」が一定値以上に上がると賞金首に認定され、他の利用者から攻撃対象にされやすくなる(甲31(15頁))が、無条件で海賊島に入島できるなどのメリットがある(甲32(4頁))。このような悪役をあえて演じることもプレイスタイルの一つとして許容されており、被告自身も:

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『大航海時代 Online』はロールプレイングゲームです。ゲームの世界の中でどのようなキャラクターを演じ、どのように生きるかといった、いわゆるプレイスタイルはプレイヤー自身が決めていくことになります。

ゲームシステムにおいて通常の操作としてできる行動は、プレイスタイルとして認められます。例えば、通常海域で賞金首に戦闘をしかける、危険海域で待ちかまえて通行船に砲撃するといった行為はハラスメントに該当しません。自分のキャラクターが置かれている状況を常に把握し、危険に対する防衛策を講じることもプレイヤー自身が行うべきことです。

『大航海時代 Online』の特徴として、大海戦などいくつかの状況において対人戦が可能であることが挙げられます。一般に、戦闘において相手を挑発することは、ひとつの作戦として有効であるといえます。『大航海時代 Online』の対人戦では、キャラクターの役割を演じるという範囲内であれば、相手を挑発する、あおるなどの行為をひとつのプレイスタイルとしてとらえます。

各プレイヤーのプレイスタイルは、規約に違反しない限りお互いに認められなければなりません。とはいえ、悪人を演じるキャラクターは、相手に快く思われないことを十分認識しておく必要があります。また、自分とプレイスタイルの合わないキャラクターに無理に合わせる必要もありません。

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と本件ゲーム内で表明している(甲33)。

さらに、本件ゲームの利用者の中には、全く知らない他の利用者から一方的に自分のキャラクターが攻撃される海賊行為に対して不快感を有する者がいるはずであるが、本件ゲーム空間においては被告が海賊行為を許容している。したがって、海賊行為を繰り返す悪役を演じるために社会において否定的評価を受ける名称をあえてキャラクターに付することもプレイスタイルの一つとして当然に許容されているというべきである。

したがって、(仮に「Gestapo」との用語が否定的評価を受けるとしても)悪役を演じるキャラクターを含め様々なプレイスタイルのキャラクターが存在する本件ゲーム空間内においては、否定的評価を受ける名称のキャラクターが登場することについて利用者に違和感を与えるものではなく、キャラクター名に違和感を有する利用者がいるとしても、海賊行為が許容されている本件ゲーム空間内において予定されているプレイスタイルの範囲内のものである。

[第十頁~第十二頁]—本件禁止条項該当性について(原告が本当に本件禁止条項を違反したのか)—④被告が開発する他のゲームの性質及び他の利用者のゲームに対する認識

被告は反ナチスを表明する傾向企業ではなく、むしろその開発・販売する「ヨーロッパ戦線」、「提督の決断」シリーズにおいてナチスドイツに関する標記を多用していること、被告の開発・販売するその他のゲームも「信長の野望」シリーズ、「三國志」シリーズ、「蒼き狼と白き牝鹿」シリーズ、「ランペルール」など戦争をテーマにしたものが多数を占めること、被告の開発・販売するゲームには固定ファンが多く被告の開発・販売したゲームをプレイした者は他の被告のゲームもプレイする者が多いことからすれば、被告の開発・販売するゲーム内では、ナチスドイツを連想させる用語を含む戦争に関する表現の使用が許容されると考えるのが通常の利用者の意思である。

これに対して、被告は、「ヨーロッパ戦線」、「提督の決断Ⅳ」は第二次世界大戦をテーマにしているのに対して本件ゲームは16世紀の大航海時代をテーマにしていること、本件ゲームには残虐な場面がないこと、本件ゲームはオンラインゲームであり老若男女が参加することなどから、「ヨーロッパ戦線」等でナチスドイツを連想させる用語を使用することが許されても、本件ゲームでは許されないなどと主張する。

しかしながら、「ヨーロッパ戦線」「提督の決断」シリーズのテーマである戦争は国際法上違法であり(国際連合憲章2条4項等)、「提督の決断」においては、利用者がいわゆる「裏技」として相手国に対して「新型爆弾」(核兵器と思われる。)を使用することが出来る(甲44)が、核兵器使用は国際法上違法な行為である(核兵器の使用及び威嚇の合法性に関する1996年7月8日国際司法裁判所勧告的意見参照)。これら現実世界の重大な違法行為をゲーム内で行なうことができる点で本件ゲームと共通する。

また「提督の決断」シリーズは海戦が中心である点でも本件ゲームと共通する。さらに、「ヨーロッパ戦線」「提督の決断」においては流血などの描写は登場しないものの、「提督の決断」における核兵器使用など残虐な行為を、残虐な描写を伴わない方法でゲーム内で許容している。本件ゲームも、他の利用者の意思に反し、そのキャラクターに対して一方的に危害を加え、それによってアイテムなどの利益を得る海賊行為という暴力的な行為が可能であり、残酷な行為を残酷な描写を伴わない方法でゲーム内で許容している。これについて、韓国のオンラインゲームに関する規制法であるレコード・ビデオアイテムおよびゲームアイテムに関する法(レビゲ法)は、プレイヤー間の戦闘行為が可能であること、これにより付加的な利益を得られることは、ゲームの暴力性を高める要素として規定されている。

その他、本件ゲームは例えば1869年に開通したスエズ運河、1914年に開通したパナマ運河が登場するなど、時代設計が曖昧である点などで、「ヨーロッパ戦線」「提督の決断」と本件ゲームのゲーム内容に本質的な違いはない。

「ヨーロッパ戦線」等と本件ゲームは、戦争をテーマにしている点その他で共通しているにもかかわらず、一方でナチスドイツを連想させる用語が多数登場するのに対して他方ではその一部の使用が禁止されていることが、パッケージやゲーム画面などの外見、規約等の記載、キャラクター登録段階における名前の入力段階、さらには被告に対する直接の問い合わせによってもまったく明らかにならない点で、被告が挙げる例とは根本的に異なる。

[第十二頁~第十三頁]—本件禁止条項該当性について(原告が本当に本件禁止条項を違反したのか)—⑤本件ゲームの利用者の実際の反応

原告は、平成18年9月10日の本件キャラクター作成以降、平成20年7月30日に削除されるまでの約2年間、他の利用者からチャットで苦情を言われたり他の利用者と接触した際に苦情・妨害を受けたりしたことはない。

また、被告も他の利用者から本件キャラクターの削除要求が来たことがないことを自認している(被告第2準備書面19頁)他、現実に他の利用者から被告に対して本件キャラクターの名称に関してクレームが来たり、本件キャラクター作成以後利用者が減少したことの主張・立証もない。このこと自体、他の利用者が「Gestapo」との名称に嫌悪感を有していないことを示している。

これに対して、被告は、現実世界において面前の人物に対して嫌悪感を抱いたとしても面と向かって苦情を申し立てることは一般的でないと主張する。

しかし、インターネットの匿名性という性質上、本件ゲーム上で苦情を述べることは、現実世界において面と向かって苦情を述べることに比べて心理的な抵抗は少ない。ましてや本件ゲームは利用者が他の利用者のプレイヤーを攻撃することが許容されているのであるから、他人に嫌悪感を与える名称を付したキャラクターに対して攻撃・妨害する利用者も容易に想定される。本件ゲームの上記の性質にもかかわらず、原告が本件ゲーム内で苦情を述べられたり、他の利用者のプレイヤーから妨害されたことがないということは、他の利用者は「Gestapo」との名称に嫌悪感を示していないことを表している。

[第十三頁~第十五頁]— 被告光栄のゲーム空間管理権について

被告コーエーは、ゲーム空間を快適に管理維持するために、光栄には規約によって付与される絶対的な空間管理権が必要だと主張する。

しかしながら、被告が主張するゲーム空間管理権が認められるためにはその根拠、行使要件が利用者に対して明確かつ事前に提示されていなければならないところ、利用者にこれらの要件が提示されていないにもかかわらず快適なゲーム空間の維持という曖昧な名目の下に、利用者の権利を制限することはできない。

特に、本件のようにキャラクター登録の場面でのキャラクターの名称自体の本件禁止条項該当性が問題となる場合では、被告はキャラクター登録画面のキャラクター名入力フォームに特定の文字の入力を禁止することによりゲーム空間管理権を行使すれば足りる。

被告が、キャラクター名入力フォームにおいて特定の文字の入力をプログラム上禁止しなかった場合には、当該文言のキャラクター名としての使用を利用者に対して許容したものであるから、キャラクター名入力フォームの使用禁止文字に該当せずにキャラクター登録が完了した場合には、以後、そのキャラクターのキャラクター名に対してゲーム空間管理権は及ばない。

被告自身も「ゲームシステムにおいて通常の操作としてできる行動は、プレイスタイルとして認められます。」と表明しているところであり(甲33)、登録段階で「適切でない」旨が表示されないキャラクター名の入力がゲームシステムにおける通常の操作の範囲内であることは明らかである。

なお、本件の被告である株式会社光栄が原告・控訴人となり、自己が著作財産権・著作者人格権を有するコンピュータ用ゲーム「三國志Ⅲ」に関する東京高判平成11年3月18日の判例では、新君主、新武将の能力値を入力するのに控訴人登録プログラムを用いるか否かは、ユーザーが自由になし得るものであり、著作者人格権(同一性保持権)侵害は成立しないとし、同一性保持権で保護されるべき範囲を示した。同時に、同一性保持権は著作者の主観的意図に反する改変をされない権利である(著作権法20条1項)から、プログラム上ある文字が排斥されず受け入れられるという事情は、利用者が当該文字を入力することが著作者である被告の意向に反しないという有力な事情になる。(つまり、システム上に禁じていない名称も、著作者である光栄がそれを認めるとの主観的意図であり、同一性保持権の観点からも、侵害すべきものではない)

この点、被告は利用規約に違反する全てのキャラクター名称を予め特定し、キャラクター登録できないようにすることはおよそ不可能であると主張する。

しかしながら、被告が本件ゲームではナチスドイツを連想させる用語の使用を認めないとの明確な意図をもって本件ゲームを開発したのであれば、ナチスドイツを連想させる用語は限られているのであるから、禁止文字として指定することは容易である。特に本件禁止条項の「他のユーザに不利益・迷惑」などが極めて不明確であり通常の利用者にとってこれに該当する具体的名称が明らかでないこと、被告のように「SS」、「ヘス」、「ゲーリング」が本件禁止条項に違反せず、「Gestapo」のみは違反するなどという通常の利用者が理解できない恣意的解釈をするのであれば、通常の利用者にとって使用が禁止される範囲を明確に示すべく、予め登録禁止用語を具体的に指定すべきである。

現に、被告は現に多くの単語について登録禁止用語を入力した場合に登録できないようになっている(甲19その他多数)のに対して、原告が本件キャラクターを作成した当時はもちろん、裁判となった現段階ですら「Gestapo」との名称を登録禁止用語として指定していないこと(甲41(添付書類14))、被告が刊行している本件ゲームのオフィシャルガイドにおいても、「すでに使われているものや特定のキーワードに触れる場合以外はなんでもOK」とあり、予め定められた登録が出来ない用語以外の登録を許容する旨の記載があること(甲31(13頁))から、被告は「Gestapo」という名称の使用を認めるとの意思を有していると評価すべきである。

以上より、原告がキャラクターに「Gestapo」との名称を付する行為は、本件ゲーム内でプログラム上可能となっているその他の行為と同様であり、被告のゲーム空間管理権は及ばない。

[第十五頁~第十七頁]— 名称違反行為に対するキャラクター削除は被告のゲーム空間管理権を超える

本件使用許諾契約は、本件ゲームの性質上、利用者が長期間プレイすることを前提として締結される継続的契約である。また、利用者の育成したキャラクターを削除することは当該利用者にとって本件ゲームの著作物を使用する権利そのものを奪うに等しい重大な影響を及ぼす。

さらに、オンラインゲームのキャラクターはそれ自体に財産的価値があり、キャラクターのレベル等によっては数百万円で取引されていること、本件キャラクターも120万円以上という多額の財産的価値を有するものであり2年近くも育成した愛着のあるものであることから、その削除は原告にとって特に重大な影響を及ぼす。

したがって、仮に「Gestapo」との名称が本件禁止条項に該当し被告のゲーム空間管理権がキャラクター名称に及ぶ場合であっても、他の利用者に不快感を与えないという目的達成にとって必要最小限度の措置を採れば足りる。具体的には、キャラクター抹消という利用者にとって重大な影響を及ぼす処分を行なうのではなく、キャラクター名の変更措置を採れば足り、キャラクター名を理由にキャラクター自体を抹消することはゲーム空間管理権の範囲を超える。

ところが被告は、キャラクターの名称のみを変更することが技術的に可能である(甲35—本件ゲームの台湾サーバでは、キャラクター名称の変更を認めている)にもかかわらず、本件キャラクター全体を削除している。

この点、被告が説明するキャラクター名称の変更を認めないという理由は、不正を行なったキャラクターの特定が容易であるとのものである(被告第2準備書面16頁)。しかしながら、キャラクター名称の変更を認めないとの規定は本規約に存在しないばかりか、不適切行為をしたとして通報されたキャラクターとの同一性判断は、利用者側からのキャラクター名の変更を認めず被告側からの変更を認めることにより解決可能であるし、キャラクター名の変更を認めた上、キャラクター名の変更履歴の調査によっても可能である。さらに、オンラインゲームのアイテムを現実世界において現実世界の売買の対象とすること(リアルマネートレーディング)は本件規約に違反するとされるが、被告が独自で調査するので利用者からの報告は不要である旨の注意書きがある(甲40)。したがって、被告の説明には何らの合理性がない。

したがって、本件削除行為は仮に本件禁止条項に違反するとしても必要最小限度の措置とは到底いえない。

なお、被告は、第三者に各種アイテム(所持金・所持品)を一時的に移行することにより同一アカウントの原告所有もう一方のキャラクターに各種アイテムを移行することができると主張する。

しかしながら、被告がしたと主張する警告(乙11)にはアイテムの移行方法に関する記載がない。また、本規約8.及び17.などによれば、被告は第三者に各種アイテムを移行後持ち逃げされた場合に責任を負わないとされているため、利用者は自己の責任で各種アイテムを持ち逃げしない信頼できる第三者を探し出さなければならなくなるが、通常、本件ゲームを通じて知り合ったに過ぎない者にそこまで信頼をおくことは容易なことではない。このように、被告の違法な削除要求に対して、原告が信頼できる第三者を探し出してまで、自己が被る損害を回避しなければならない理由はない。

また、被告が主張する方法によっても、キャラクターの名前、称号・ステータス、スキル、使用言語、プライベート・ファームなどをもう一方のキャラクターに移行することはできない点からも被告の主張は失当である。

[第十七頁~第十九頁]— 被告のゲーム空間管理権の行使が権利の濫用-1

1.被告が本件キャラクターを長期間放置していることについて
       
被告が本件キャラクターを削除したのは作成されてから2年近く経過した後である。原告は、キャラクター登録の際に「Gestapo」との名称を登録することができた時点で「Gestapo」との名称が本件利用規約に違反しないと考えていたが、その後も2年近くの長期に渡り課金し、その間、被告からキャラクター名称について何らの規約違反の主張がなされなかったことから、本件利用規約違反がないことをさらに確信するに至った。

このような原告の信頼は法的保護に値するものであり、その後、一旦キャラクター登録を認めた被告が、、キャラクターのレベル等が十分に上昇した段階において突如として「Gestapo」が本件規約に違反するとして削除することは、ゲーム空間管理権の濫用であるとともに禁反言の法理からも許されない。また、かかる事情は、本件削除行為に極めて強度な違法性が認められる一要素ともなる。

これに対して、被告は、広大なゲーム空間を常時監視することは不可能であると主張するが、被告が不適切な行為として例示する各種行為と異なり、被告が「他のユーザーが嫌悪感を抱く」名称をキャラクターの名称とすることを禁止したいのであれば、キャラクター名入力フォームで登録禁止用語として指定すれば足り、キャラクターの名前が不適切かについて被告が常時観察する必要はない。

また、被告は平成20年6月19日に本件キャラクターが「Gestapo」という名称を使用していることを始めて発見してから速やかに対応しているなどとも主張する。

しかしながら、電子承諾通知の到達時期は相手方が通知にかかる情報を記録した電磁的記録にアクセス可能となった時点をもって到達したものと解され(準則Ⅰ-1―1 2.(2))、現実に相手方がその内容を了知している必要はない。原告が本件キャラクターを作成したのは被告の主張によれば平成18年9月10日であるが、原告がキャラクター登録画面で完了ボタンをクリックした段階(乙3画面1-8)で被告のサーバに記録されるから、その時点で被告は本件キャラクターの電磁的記録に対してアクセスが可能となっており、意思表示が到達されたものと扱われる。

また、本件キャラクターのデータは常に被告サーバ内に保存されていたのであるから、被告は原告が本件ゲームをプレイしているか否かを問わず、常時、本件キャラクターの名称を確認することが可能であった。

したがって、本件キャラクターの名称を「Gestapo」にする旨の原告の意思表示が到達した平成18年9月10日から2年近くも黙認又は放置した後に削除した被告の行為は、到底迅速な対応とはいえない。

[第十九頁]—被告のゲーム空間管理権の行使が権利の濫用-2

2.被告がナチスドイツを連想させる他のキャラクターを放置していることについて

被告は、本件ゲーム内で、「SS」(甲20の1、甲20の2)や「ゲーリング」(甲21の1)、甲21の2)、「ヘス」(甲22)というナチスドイツを連想させるキャラクター名を付したキャラクターを放置している。

これに対して、被告は、「SS」はイニシャル、「ゲーリング」、「ヘス」は人名であり一義的にナチスドイツ関係者を連想させるものではないと主張する。

しかしながら、少なくとも「SS」、「ゲーリング」は第一次的にはそれぞれナチス親衛隊、ナチス指導者を意味することは明らかである(甲36)。特に「SS」は、ドイツにおいては例え地域の頭文字と重なっても使用できない用語であり、ハーケンクロイツと並び最も強くナチスドイツを連想させる用語である(甲13)。さらに、被告が主張するように「SS」等が他の用語を指すと解する余地があるというのであれば、「Gestapo」も「Gestapo666」というバンド(甲14、甲15)の略称等を指す余地があるから、「SS」、「ゲーリング」、「ヘス」が許容され、「Gestapo」が禁止される合理的理由は存在しない。

このように被告が他のナチスドイツ関連用語を付したキャラクターを放置しながら、殊更に本件キャラクターのみを削除したという事情も、被告のゲーム空間管理権の濫用の一事情となると共に、本件削除行為には極めて強度な違法性が認められる。

[第二十頁]—被告のゲーム空間管理権の行使が権利の濫用-3

3.被告が原告からのキャラクター名の照会に応じないことについて

本件規約には、規約に違反するキャラクター名の個別的な記載どころかキャラクター名が本件規約に違反する場合があること自体についてすら全く記載がない。また、キャラクター登録画面における入力フォームでは被告が予め特定した使用禁止文字と既に登録された名称以外の入力が可能となっている。したがって、利用者としては自己のキャラクター名が本件規約に違反するかを知るためには被告に対して個別に照会する以外に方法がないところ、原告が、被告に対して詳細な理由を述べた上で使用可能なキャラクター名を照会したにもかかわらず(甲41添付書類4、5、7、8、10)、被告はこれに応じなかった(甲7)。

このように自ら不明確な規約を制定し照会にも応じないなど利用者に対して規約に違反するキャラクター名の内容について全く明らかにしないまま、突如、キャラクター名が規約に違反すると主張して削除するという被告の対応も、ゲーム空間管理権の濫用の一要素であるとともに、本件削除行為には極めて強度な違法性が認められる。

[第二十頁~第二十一頁]—被告のゲーム空間管理権の行使が権利の濫用-4

4.被告がナチスドイツの顧客吸引力を利用していることについて

被告は、「ヨーロッパ戦線」、「提督の決断」シリーズにおいてナチスドイツに関する標記を多用している。

しかしながら、ゲームのテーマとして第二次世界大戦を選択したり、ナチスドイツを登場させる必要性もない。少なくとも、「ヨーロッパ戦線」「提督の決断Ⅳ」で利用者が枢軸軍側でのプレイができる(甲17の2、甲17の3、甲18の2)ようにする必要性は全くない。被告が、多数の近代の戦争のうち第一次世界大戦やベトナム戦争などではなく敢えて第二次世界大戦をゲームのテーマとして選択しナチスドイツを登場させているのは、それが利用者の需要に沿うからであり、被告は「ヨーロッパ戦線」等においてナチスドイツの顧客吸引力を利用していると評価されても止むを得ない。

被告が一方でナチスドイツの顧客吸引力を利用しつつ、他方で原告に対してナチスドイツの秘密警察を連想させる「Gestapo」との名称を禁止することは、矛盾挙動であり、ゲーム空間管理権の濫用の一要素であるとともに、本件削除行為には極めて強度な違法性が認められる。

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