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支援者東京地方法院判決結果概要

2009年9月16日日本時間13時10分, 合議庭的三位法官判定「駁回原告請求」, 即原告(本會支援者)敗訴.
<原告敗訴判決的內容的概要>
1. 只要玩家按下同意按鈕, 契約就成立, 而KOEI的契約內容由於只是寫的籠統, 並不能光看文面就說是「故意讓消費者不利」, 因此不違法
(※ 法官無視了我方所主張的「即使規約本身的文字上沒有不合法, 但是他們所做的行為本身根本超出規約文字上常識的範圍」的部分)
2. 由於不違法, 所以規約內容都有效—所以KOEI只要是依照規約的規定, 就可以為所欲為.
3. 此外法官沒有提出任何客觀證據就主觀的認定, 「Gestapo」的名稱確實會有讓人感到不愉快的可能性(=法官認為, 證明Gestapo名稱「有可能」會讓人感到不愉快根本不需要任何物證, 因為什麼都是「有可能」的, 你有沒有可能將來去拿到美國國籍, 當然「有可能」, 只要你不死什麼事情都是有可能的),所以即使根本沒有人通報或者抗議過「Gestapo」這個角色名稱, 光榮也拿不出任何真的有人有可能對此不滿的物證, 或者的確連日本國內以及歐洲各國都沒有禁止「Gestapo」這個用語, koei也有權力以抽象性危險的理由, 依照規約規定的方式來刪除, 因為玩家事前按下了同意按鈕, 同意「光榮可以單方面的判斷與單方面的解約並且不負任何責任」, 且光榮並沒有強迫玩家一定要玩光榮的遊戲, 玩家若不能同意這樣的契約內容, 大可以不要玩.
4. 拒絕以讓玩家改變名稱來解決問題這點, 法官認定由於KOEI有提出具體理由—若允許特殊情況下改名, 必定多數玩家都會開始故意取不雅名稱, 或者故意白目的騷擾其他玩家之後再立刻改名讓人找不到等等, 影響到其他玩家的權益並且破壞遊戲的秩序所以KOEI的無論任何情況之下也不允許角色更改名稱, 只要有問題就直接砍角色的處理方式是合理的.
5. 此外, 由於角色與其他的遊戲相關的所有電磁資料本身, 不但都是屬於KOEI的財產, 且根本不包含在遊戲契約之內, 因此, 玩家連使用權都不存在. 遊戲契約當中, 只包括了玩家的ID與密碼的使用權而已, 而ID與密碼之下的所有會變動的電磁資料, 都不屬於遊戲契約的範圍當中, 因此光榮也根本沒有保護的義務存在.
(※ 玩家付費時所能得到的只有遊戲帳號本身那個ID與Pass的使用權而已, 就是「只有打ID與密碼的權力」而已, 那個ID與密碼之下的所有電磁資料(即所有遊戲內的角色等等資料), 玩家不但別說財產權, 連使用權都無, 所以遊戲公司根本可以沒有任何理由就直接修改或者刪除你的角色資料與虛寶內容, 也無義務要保護那些資料.)
6. KOEI沒有義務要隨時監視遊戲內的名稱等活動, 而只需要用GM巡邏方式管理即可. 且無論GM有沒有發現到違規, 只要光榮尚未處理違規行為, [...]

支援者一審判決結果

平成21年9月16日午後1時10分に、一審判決が下されました。事実上の原告完全敗訴です。
<判決の概要>
1.同意ボタンさえ押せば、その時点で契約が成立です。
2.光栄の規約内容は、「概要的(あいまいな表現)」があるが、これは、すべての項目をきめ細かく決めるのは物理的無理であり、このような規約内容の書き方に、法的問題はない。
※ 裁判官は、こちらが主張した「例え規約の文字自体が違法でないにしても、自由心証で違反かどうかを判定するのは、明らかに一方的に消費者に不利である」ということは全く触れていない(無視された)
3.よって、光栄の規約内容は「わざと消費者に不利なように書かれた」とまでは言えない。 よって、違法ではない。
4.違法ではないため、すべての規約内容は有効で、拘束力がある。
5.そして、確かに「Gestapo」という名称は、本件ゲームの中で、全く一件たりとも苦情がなく、また不快に思う利用者がいる事実もないのだが「Gestapoという言葉に不快に思う人がいる可能性があり、抽象的危険性がある」のは否定できない。よって、光栄の独自の判断で、処分をして合理性がある。
※ つまり、とある日に、「Lainhalt」という名前は、不快に思う人間がいるかもしれないと光栄が判定し(まあ、お世辞にも言えないけれど、不快に思う方はいらっしゃるのではないでしょうか?)、「Lainhalt」さんのキャラクターをいつでも削除してよいということです。
また、このような削除行為は、どなたかのブログで、管理者(ブロガー)が良くないと思われた内容を削除できるのと同程度のことであると裁判官が判断を示しています。
6.処分は、「キャラクターの削除のみ」というのは、光栄側の主張する「名称変更を認めれば、不適切な名称が乱立することになる」「ハラスメントを行った利用者が、名称の変更によって、特定できなくなる」という大変合理的な理由があるため、名称の変更ではなく、一律削除が妥当である。
7.光栄側の、事前チェックする義務はない、GM巡回方式でのゲーム管理は適切であり、2年以上経っていてようやく違反を発見し、削除したのは、仕方のないことであり、また、その間の料金の徴収も、特に法的に問題はない。
8.光栄は、事前の利用者からの規約内容のお問い合わせ(どんな行為が規約違反か)について、対応する義務はない。
9.光栄は、処分を行っても、利用者に知らせる義務はない。まして今回は光栄はちゃんと警告をしており、原告自身が見落としているのであって、非は原告にある。
10.上記1-9の理由から、原告の請求は明らかに的外れであり、すべて棄却する。
私自身の感想は、これはもはや海外利用者の問題ではないということです。
つまり、日本の法律では、オンラインゲーム運営業者は、絶対的な裁量権と完全免責権があるということです。オンラインゲームをやるなら、例えどんなに用心していても、いつ垢BANされても文句はいえない、ということですね。
ここをご覧になった方々には、この裁判所が判断した事実を、周囲に周知させ、もちろん、消費者団体やその他関連団体やマスコミなどにもご宣伝していただければ、と思っております。

<第6回出廷原告最終準備文面>概要

<第6回出廷原告最終準備文面>概要
第6回法廷での被告光栄側の答弁に対する最終反論。
[第一頁~第二頁]本禁止条項の拘束力について
被告は、スクロールしなくて同意ボタンがクリックできても、十分に明瞭でわかりやすい規約であると主張するが、そもそも注意書きの部分でも、「以下の規約をお読み下さい。」と記載されているに過ぎず、また、スクロールバーもみにくく、さらに、スクロールボックス内に表示されている規約が「…義務を有しない」と文章として完結している形で終わっていることなどから、規約内容はそこで終わっていると利用者に錯覚を与える可能性があり、とても明瞭とはいえない。
さらに、本件規約の内容の殆どが一方的な免責条項であり、本件使用許諾契約の本質とは無関係な部分である。したがって、本規約が存在しなくても、原告が一定の利用料を支払い本件ゲームを使用し、被告は、原告の使用を受忍するとともに育成したキャラクターのデータを保存する義務を負うという内容の本件使用許諾契約自体は当事者間に意思の合致があるものとして有効に成立するから問題ない。
[第二頁]本禁止条項は明らかに消費者の権利を制限している
被告は、「本件ネットワーク利用規約による措置は、…契約関係を終了させるものではないから契約解除ではない。」等と主張する。
しかしながら、被告の主張によれば、被告が利用者の利用資格を停止せずに全てのキャラクターを削除し、その利用者にとって新規に登録する場合と同様の状態となっても(一部)解除に該当しないことになるが、このような取扱は、自己が育成した特定のキャラクターを本件ゲーム内で継続して使用することができるといった本件使用許諾契約の本質的特徴を看過するものであり、このような消費者契約法の潜脱的行為を認めないためにも、「公の秩序に関しない規定」(消費者契約法10条)との比較は不要、または、利用者が他のキャラクターの作成が可能である場合でも契約の一部解除に該当すると解すべきである。
[第二頁~第三頁]本禁止条項は消費者契約法にも、民法信義則にも反する
被告は、本件禁止条項は信義則に違反しない限りにおいて被告の裁量を認める規定であるから、信義則に反せず消費者契約法10条によっても無効とならないなどと主張する(被告第3準備書面6頁)が、循環論法であり、かかる解釈によれば消費者契約法10条により無効になる条項が存在しなくなる。
消費者契約法10条は、消費者契約の条項の文言上、「民法第一条第二項に規定する基本原則に反して」に該当すれば無効となるとする規定であるところ、本件禁止条項は「信義則に違反しない限り」との文言が存在しないから、消費者契約法10条により無効となる。なぜなら、被告は自己の制定する規約を消費者契約法上無効にならないように規定することが可能であったから、あえて消費者契約法上無効になるような包括的な不当条項を定めた場合の不利益を被っても酷とはいえず、また、包括的な不当条項を裁判所がぎりぎり有効な範囲で効力を維持するのであれば、包括的な不当条項が横行し、不当条項に異議を唱えない大多数の消費者に不利益をもたらすからである。
さらに、被告は、「大航海時代Onlineサービス利用規約」(甲41添付資料17)において「本契約の一部が、消費者保護法令の強行規定部分により効力を有しないとされる場合でも、その他の部分はこれに反しない最大の範囲で効力を有するものとします。」との規定を置いている。かかる規定の有効性自体が疑問であるが、少なくとも被告は本規約においてこのような救済規定を容易に制定できたのにあえて制定していない以上、本件禁止条項が信義則に違反しない限り裁量を認める趣旨であったとしても、消費者契約法10条により無効となる。
なお、原告は念のため、本件禁止条項は、消費者契約法10条と同様の理由(原告第2準備書面3~4頁)により信義則にも違反することを主張しておく。
[第三頁~第四頁]コーエーの裁量権について
「他のユーザーに何らかの不利益・迷惑等を及ぼす」かは裁判所により客観的に判断可能であるので、取締役の善管注意義務違反の判断の際に用いられる経営判断の原則のような議論は妥当しない。時間・費用をかけて裁判所による客観的判断を要することが非現実的な対応であるとする被告の主張は、裁判制度の否定に等しい主張である。
仮に被告の裁量が認められるとしても、本件削除行為は、円滑かつ快適なゲーム空間運営のために認められる被告の裁量の範囲を逸脱するものであり、違法である。
[第四頁]gestapoの名称は、本件ゲーム内の世界観と調和している。
被告は、本件ゲームの海賊行為が、殺傷行為の描写等がなくいわば「海賊ごっこ」に過ぎず、たとえばテーマパークにおける海賊に関するアトラクションが設置されている場合と異ならないなどと主張する。
しかしながら、海洋法に関する国際連合条約105条、平成19年ころから問題となっているソマリア沖の海賊等の存在などに鑑みれば、「海賊」という名称及び海上戦の描写自体からテロ、虐殺などの残虐行為、違法行為を連想させる。また、被告は本件ゲーム内で、「大海戦」と称してプレイヤーの所属する国家の威信を賭けて闘う大規模な海上戦を定期的に主催するなど、利用者の残虐行為を扇動している。
さらに、本件ゲームの海賊行為が「海賊ごっこ」に過ぎないのであれば、本件キャラクターも他の利用者にとってみれば、「ナチスごっこ」または「戦争ごっこ」をしているキャラクターに過ぎず、たとえば、漫画やアニメでしばしば見られるナチスドイツを連想させるキャラクターのような存在に過ぎない。
被告が、現実世界の重大な違法行為であり、かつ近時の国際問題ともなっている海賊行為を本件ゲーム内では「ごっこ」と称する一方、現実世界では完全に適法な「Gestapo」との名称使用を、過去にナチスドイツ秘密警察が行なったとされる虐殺行為を持ち出して使用を禁止することは恣意的解釈というほかない。
しかも、被告が主張するように本件ゲームにおいて残虐性が排除されているのであれば、本件キャラクターはいかに残虐な行為を行ないたくても不可能であるから、本件キャラクターの名称に対して他の利用者が嫌悪感を示すことはない。
[第五頁~第七頁]被告光栄のゲーム空間管理権の範囲について
被告には利用者が誤って規約に違反する名称をキャラクターに付することのないように適正なゲームシステムを構築すべき義務の違反があるから、本件キャラクターの名称には被告のゲーム空間管理権は及ばない。
すなわち、被告は、本件ゲームの開発段階において、ゲーム空間内の世界観の設定を自由に行なうことができ、キャラクター名称を含むその世界観と調和しない表現をプログラム上禁止することができたはず。
被告は、禁止対象となり得るキャラクター名称は多種多様であり予め想定し尽すことは不可能であると主張するが、被告が、ナチスドイツなどの特定の用語の使用を全て排除したいとの明確な意図をもって本件ゲームを開発したのであれば、その世界観と調和しない用語のほとんどは事前に想定可能であり、「正規表現」等を用いることにより、自己が禁止したい用語のほとんどを登録が出来ないようにすることが可能であった。
仮にキャラクター登録段階において規約違反としたい用語を完全に排除できないとしても、被告は、キャラクター名称入力段階では仮登録とし、利用者がキャラクターを削除できない1週間の期間において目視により確認して初めて本登録を認めることとしたり、キャラクターデータのデータベースを正規表現等を用いて検索するなどの方法により、キャラクター名が規約違反に該当するか否かを容易かつ早期に確認し得た。さらに、規約において使用できない名称を具体的に例示したり、キャラクター登録段階においてかかる注意書きを表示するなど、利用者が誤って規約違反の名称を付け長期間プレイすることを防止することができる立場にあった。
しかし、本規約にはキャラクター名が規約に違反する場合があることすら記載されておらず、登録禁止用語以外のキャラクター名を入力すれば登録が完了してしまい、被告に照会しても回答がないなど、利用者は、いかなる名称が規約に違反するかを事前に全く知り得ない立場にある。
被告はコンピュータソフトウェア商品の開発等を行なう東証一部上場企業であり多数の利用者から利用料を徴収して莫大な利益を上げているのであるから、本件ゲームの開発・運用に当っても、利用者が誤って規約に違反する(と被告が主張する)名称をキャラクターに付することのないように適正なゲームシステム(登録段階での入力制限などのほか規約の明確化、注意書の表示等を含む。)を構築すべき義務を負うところ、これを怠り、利用者が規約違反の用語をキャラクター名として入力し、それを継続使用することを放置しているのであるから、一旦登録され、かつ相当期間が経過したキャラクター名称については、被告のゲーム空間管理権は及ばないというべきである。
これに対して、被告は、当該キャラクターがゲームに参加している時点において、キャラクター名称をゲームマスターの目視により違反の有無を確認する方法が適切であると主張する。
しかしながら、当該方法は入力フォームに登録禁止文字を指定する手段に比べ著しく非効率的な確認方法であるばかりか、多数存在するゲームマスターの主観により利用者間の取扱いに不公平が生じるし、本件のように登録後長期間経過後に削除されるという不当なことが行なわれることから、目視による確認では上記義務を果たしたことにはならない 。
また、被告の主張によれば、ゲームマスターの目視による監視がゲーム内の規約違反行為を発見する唯一の方法となるが、被告はこのような重要な役割を果たすゲームマスターをアルバイトを中心に行なわせているようであり、極めて不適切である。
なお、被告は、「ゲームシステムにおいて通常の操作としてできる行動は、プレイスタイルとして認められます。」との記載について、特定のキャラクター名称の使用はプレイスタイルとは異なると主張する。
しかしながら、被告がプレイスタイルをゲーム空間での振舞い方に限定する根拠はない。ゲーム空間でどのような振舞いをするかを考慮してキャラクター名を設定する利用者も存在し、ゲーム空間での振舞い方が自由である以上、当然にその振舞い方に合わせたキャラクター名を設定することもプレイスタイルとして自由である。また、原告がキャラクター名入力フォームに「Gestapo」と入力してキャラクターに「Gestapo」との名称を付した行為は、バグ(プログラムにおける誤り)などを利用した操作ではなくプログラム上当然に可能な操作であるから通常の操作の範囲内の行為であることは明らかである。
[第七頁~第八頁]被告の行為がプロバイダ責任制限法の趣旨に反する
被告は、原告が主張する各種対応をとらずとも送信防止措置を採ることを可能とするため規約を設けるのがISPの実務上の対応であると主張するが、原告の主張を誤解または曲解するものである。被告の行為は通知をすることもなく独断で送信防止措置をとり、後に、規約を楯にして免責を主張することは通常のISPの対応との比較からあり得ないものである。
また、被告は他のユーザーからクレームを受ける可能性が存在すると主張するが、削除要求はもちろんクレームを受けたわけでもない被告は第三者と発信者との両者から責任を追及される立場にない。このような被告の独断による送信防止措置について免責を認めるとすればプロバイダ責任制限法の制定趣旨を著しく没却する。
[第八頁~第九頁]キャラクターデータが金銭的評価の対象となること
被告は、本件ゲームにおいては育成代行、リアルマネートレーディングが禁止されているから金銭的な評価の対象とならないと主張する。
しかしながら、育成代行、リアルマネートレーディングは、利用者と被告との間で規約(仮に有効であるものとする。)上禁止されているに過ぎない。リアルマネートレーディングはゲーム運営会社の規約に違反している場合であっても、私法上は有効であり、売主は買主に対して代金請求をなし得ること、本件ゲームでキャラクターの取得したレベルやアイテム等はこれにより本件ゲームをプレイできる幅が広がる等の利益があること、現実世界において本件ゲームを含めオンラインゲームのアイテム等が盛んに取引されており、育成代行業者も存在することなどから、オンラインゲームのレベル・アイテム等には財産的価値が認められる。そして、本件キャラクターのアイテム等はリアルマネートレーディング等により得たものではなく原告自らが育成して得たものであるから、被告に対する関係でも財産的価値が認められることは明らかである。
なお、被告は、高松地判平成18年11月17日が有料アイテムの詐取が問題となった事例であり、有料アイテムが存在しない本件ゲームには妥当しないと主張する。
しかしながら、高松地判平成18年11月17日で問題となったオンラインゲーム「メイプルストーリー」は通常プレイが無料、特殊なアイテムのみに課金する形態であるところ、本件ゲームは通常プレイ自体が有料であるから、本件ゲームの通常プレイにより得られたアイテム等にはすべて財産的価値が認められる。
[第九頁~第十頁]本件キャラクターを再度育成する場合に要する時間について
被告は、乙18を提出し、原告の本件キャラクターのプレイ時間が約156時間に過ぎないと主張する。
しかしながら、被告の当該主張は、訴訟のより早い段階で容易に主張・立証し得たにもかかわらず、弁論終結直前に至り始めて主張されたものであり、その提出時期が不自然不合理であり、被告内部の情報でもあることから、その信用性は認められない。
しかも、原告は本件キャラクター単体の実際のプレイ時間が約1800時間と主張したことはなく、従来より再度育成した場合にかかる時間を1800時間以上と主張していたものであり、被告が主張する本件キャラクター単体でのプレイ時間は損害賠償の額とは何らの関係も有しない。本件キャラクターの所持していた各種レアアイテムは、他のキャラクターから直接または間接的に譲り受けたものが大多数を占めており、本件キャラクター単体のプレイ時間と本件キャラクターの財産的価値とは比例するものではない。
また、原告が本件キャラクターでプレイしていた当時は、被告は本件ゲーム内で多数のイベントを行なっており参加すればレアアイテムを簡単に取得できたこと、ゲーム内の他の利用者と協力することができたことなど有利な条件があったのに対して、現段階で原告が再度プレイする場合にそのような有利な条件はなく、むしろ、本件ゲーム内は、原告が本件キャラクターを作成した初期のころと比べ、利用者の増大等によるゲーム内通貨のインフレが進み、アイテムの取得やレベルの上昇等が困難になっており、原告が本件キャラクターを作成してプレイしていた当時と比べ、同様の状態のキャラクターを育成することは格段に困難になっている。
したがって、本件キャラクターの財産的価値は、540万円(1800時間×3000円)、少なくとも育成代行業者の見積額の下限である120万円を下らない。
なお、被告は、本件ゲームの月額利用料が1575円に過ぎないことから原告の請求は過大であるとも主張する。
しかしながら、月額利用料は常に1575円ではなく、様々な料金体系があり、利用料の料金体系により同一のキャラクターの財産的価値が異なるのは不当である。また、同一期間利用料を支払いながら、最強の状態のキャラクターが削除された場合と初期状態のキャラクターが削除された場合との損害額が同一であるというのも明らかに不当である。本件ゲームの本質的特徴は育成したキャラクターを半永続的に(本件ゲームでは一般の家庭用ゲームの『クリア』という概念はない。)、継続して使用するものであり、キャラクターの育成により得られるいわば労働的対価は全て利用者に帰属するから、被告が利用料以上の損害賠償義務を負うことは当然である。さらに、削除について被告に故意が認められ不法行為も成立するような本件の事案において被告の損害賠償義務が利用料に限定される根拠は何ら認められない。
[第十頁~第十一頁]原告の権利が憲法上の基本的人権に基づくこと
被告は、本件ゲームが表現の場ではないこと、「Gestapo」との命名が本件ゲームの機能の一部を利用したに過ぎないことから、表現の自由に基づくものではないと主張する。
しかしながら、表現の場で行なわなければ表現の自由の保障対象とならないという主張が誤りであることはもちろん、被告の主張によれば本件ゲームの機能の一部を利用することにより画面上に表示される全ての表現(チャットにおける会話や被告の表現行為であるはずのゲーム世界内の風景等の描写)が表現の自由の保障対象とならなくなり、明らかに失当である。
また、原告の訴訟外における思想・良心の自由を侵害する旨の主張に対して、これを積極的に否定せず単に削除の根拠条項のみを挙げたに過ぎないことから、原告は、自己をナチスドイツの思想を有すると決めつけ、思想を理由として不利益を課したと感じたものである。
さらに、被告は、「原告がナチスドイツの思想を有する者と決め付けられたと感じるのであれば、一般人をして『Gestapo』との名称が、ナチスドイツを連想させ、不快感・嫌悪感を感じさせることは一層明らか」と主張するが、自己の思想に反してナチスドイツの思想を有するものと決め付けられることによる不快感と、「Gestapo」がナチスドイツを連想させることにより他の利用者に与える影響とは全く異なるから、被告の主張は失当である。
なお、被告が明確な理由により本件キャラクターを削除したのであれば、原告からの削除理由の問い合わせに対して直ちに回答できるにもかかわらず、その具体的理由を第1準備書面で記載するまで明らかにしなかったこと等から、被告は、原告の思想を理由に本件キャラクターを削除した疑いがあることも付言する。
[第十一頁~第十二頁]プレイ時間に関する被告の主張に対する反論について
被告は、原告の本件キャラクターでのプレイ時間が156時間32分49秒であるに過ぎないと主張する。
しかしながら、上記のように本件キャラクター単体の現実のプレイ時間を論ずる意味はない。また、本件キャラクターのプレイ時間そのものよりも、被告の本件削除行為及びその後の行動の結果、原告が有する他のキャラクター等についても削除の危険にさらされ、以後、原告は本件ゲームにおいて安心してプレイすることができなくなった点について原告は極めて大きな精神的苦痛を受けており、単に本件キャラクターでプレイした時間が約156時間であることから、原告の受けた精神的苦痛が少ないとは到底いえない。
[第十二頁]その他精神的損害関連事項
原告の本件キャラクターは本件ゲーム内で商会の会長といった利用者間交流の中心人物であり、本件キャラクターを通じて本件ゲーム内で多数の利用者と交流があったが、本件削除行為以後は本件キャラクターで本件ゲームをプレイできなくなったこと、本件削除行為等を原因として本件ゲーム内の知人も被告に愛想を尽かして引退したことより、原告は多くのゲーム内の知人と交流ができなくなった。かかる事由も原告の精神的苦痛を増加させるものである。
また、被告は、交渉、訴訟のために費やした時間・費用を精神的損害として請求することはできないと主張するが、当事者本人の訴訟の提起、維持のための精神的負担が慰謝料額に反映されることは各種裁判例(東京高判昭和60年10月17日無体集17巻3号462頁等)から明らかである。
[第十二頁~第十三頁]確認の利益についての補足
本件キャラクターのデータは被告により削除されているもののバックアップデータが存在するから、本件キャラクターの使用権の確認の利益が失われるものではない。
そもそも原告が確認を求めているのは、現実に存在する本件キャラクターのデータの使用権のみではなく、およそ、原告が本件キャラクターを本件ゲーム内で使用することについて被告から規約違反を理由として削除されることのない権利または地位の確認を含むものである。
そして、原告がこの権利また地位を確認することにより、今後原告が本件キャラクターと同様のキャラクターを作成した場合に被告との間で生じる紛争を抜本的に解決することができるので、確認の利益が認められる。東京高判平成12年1月19日判時1748号125頁も、パソコン通信サービスの会員である地位を有することの確認の利益は、パソコン通信事業者がその事業を撤退したことによっては失われないとしており、本件キャラクターのデータが存在するかは確認の利益の有無と無関係であることは明らかである。
以上。

第6回法廷での被告光栄側の答弁

2009年7月8日に法廷が開かれる直前の6月30日に、被告側代理人から、法廷の準備文書を原告側、そして裁判所に送付した。
~第6回法廷での被告側の答弁~ 本文部分は計35ページ分、他目次・証拠品あり
[第一頁~第三頁]—光栄の規約は明瞭に表示されていることについて
1・準則では、インターネットの利用規約をスクロールに関係なく、有効と承認しており、よって、本規約は有効で拘束力のある規約である。
2.原告の提出した文献も「スクロールしなければ無効である」という趣旨ではなく、あくまで「スクロールをしないと同意ボタンがクリックできないのは、最も厳格な手続きである」と示したに過ぎない。
よって、光栄のいずれの規約も、完全明瞭であり、消費者は簡単に理解できる内容で、また、何ら消費者に不利な内容は含まれていない。
[第三頁~第四頁]—本規約は消費者契約法に違反していない その1 原告は依然として、現行法と比較して、本規約はいかなる「消費者の権利を制限した」と立証できていない。
確かに、原告の主張されたように、(現行法の)明文の任意規定に限らず有効である見解は存在する。
しかし、仮に原告の主張のままで本規約の内容を検討しても、消費者のいかなる権利を制限し、または消費者の義務を加重しているのかについて、原告は具体的に主張できていない。
よって、本規約は消費者契約法第10条に違反していない。
[第四頁]—本規約は消費者契約法に違反していない その2 本件削除事件は、契約の部分解除ですら当たらないことについて
本件キャラクターGestapoを削除したとしても、原告には、もう一方のキャラクターでプレイを 続行することもできる上、さらには新たにキャラクターを作成して、プレイすることも可能であることから、本件削除事件は原告に対しては、全く影響はなく、 契約の解除に当たらないばかりか、一部解除にすら当たらない。
契約の解除ではないので、民法540・541条などに比較するのは明らかに誤りである。民法540・541条と比較できないことから、当然消費者契約法第10条にも違反しない。
[第五頁~第六頁]—本規約9(2)(b)は民法の信義則に反していない
本規約9(2)(b)は、光栄が任意にサーバ内のあらゆるデータの削除する権利を有すと規定してある。これは何ら非合理的な要素はない。
サーバは、光栄の私有物であり、公衆の財産ではない。本件ゲームのユーザは、「規約に同意する」という条件の下で、光栄の私有財産であるサーバにアクセス して、プレイが許されるわけであり、この私有財産内(私有地)のあらゆるデータとルールは、当然光栄には絶対的裁量権があってしかるべきである。光栄が自 らが嫌う行為や人間を排除するのも、当然の権利である。
また、本件ゲームは不特定多数の人間が同時にゲームを進行するMMORPGであり、これだけ多くの人たちがどのような違反をするのかを事前に予測するのは不可能であり、すべての違反行為を事前に列挙しなければ禁止することはできないというのはナンセンスである。
よって、この状況において、光栄はもちろん「ある程度包括的で規範的な記載」をするしかなく、その規定の仕方には、被告光栄に裁量が認められるのも、当然である。
現に、美術館、図書館などの不特定多数の人間が利用する施設において、運営を円滑に進めるために、不適切行為を包括的に禁止している。例えば「他の利用者に迷惑をかけないでください」など。
加えて、本件ゲームの秩序を維持するために、光栄は迅速に違反行為を差し止める必要があり、そのための規約の解釈や適用などについて、裁量権が認められなければならない。
ただし、被告に規約の解釈適用についての裁量が認められるとしても、それは「無制限」ではありえず、契約の解釈原理でも信義則に反するものであってはならない。
しかし、本規約9(2)(b)の「データの任意削除権」・「削除の事実等をユーザに通知しない権利」なども、包括的に規範的な記載をしたに過ぎず、また、本件削除事件の裁量も、民法の信義則に反しない範囲での裁量であるため、違法ではない。
信義則に違反していないのだから、当然消費者契約法第10条にも違反しない。
[第六頁~第七頁]—本規約15(g)も民法の信義則に反しない
上記9(2)(b)と同じ理由で、15(g)もあくまで「包括的に規範を記載した」に過ぎず、また、今回の光栄の行為はすべて民法信義則に反しないことから、民法も、消費者契約法にも反していない。
※ 上記9(2)(b)や15(g)に対する主張は、「規約内容自身」は、包括的に禁止事項を記載しても違法ではないから、当然民法の信義則に反 していない、しかし、その後の裁量と運用は、光栄の私有地であるため、光栄は絶対的権力を持つのは当然であり、「無限大の権限はない」と主張しつつも、実 際「無限大の権限を行使しても、法律の管轄の範囲に当たらない(=光栄は自らのあらゆる行為をすべて民法信義則に反しないと一方的に主張している)」と主 張しているのです。
[第七頁~第九頁]—その他原告の指摘された部分のいずれも、違法性はない
1.原告は、光栄は一方的に部分解約してはならないと主張しているが、そもそも本件削除事件は、部分解約に当たらないので、的外れである。
2.原告は、光栄の規約は、事実上判断の合理性を問わず、何時でも自らの裁量であらゆる処分ができ、当事者間の公平をあまりにも害すると主張する が、しかし、規約の条文自身は包括的な規範の記載のみで、何ら違法性はなく、またその後の裁量は光栄の私有地であるため、光栄の判断でよいのであり、何ら 違法性はない。
3・原告は「誤バン・冤罪も含めて、光栄に任意にデータを削除してよいとの規約解釈を通常同意することはありえない」と主張するが、しかし、光栄の裁量はいずれも信義則に反しておらず、利用者に不当に不利であるとはいえないため、利用者の合理的意思に反するわけがない。
4.原告は本規約内に、「疑い」「当社が判断した」など、基準が極めて不明確の文言が多数入っており、規約違反するかどうかをユーザが予見できな いと主張するが、光栄の規約の文言はいずれも明確であり、利用者が理解できないわけがなく、よって、利用者が規約違反を予見できないなどの不利益を与える とはいえない。
5.原告は、光栄の他の規約内容も、ほとんど自らの責任逃れのための免責事項であると主張するが、これらの規約内容は、本件裁判とは関係がなく、論じるに足りない。
6・原告は、プレイするためには、同意ボタンをクリックする以外方法はなく、また規約に対する異論もできないと主張するが、光栄は、一度たりともユーザにプレイ・契約締結することを強要しておらず、嫌なら、利用者は本件ゲームを利用しない自由があるのだから、原告の主張は、法律とは全く関係がない。
7.原告は、光栄は大企業であり、原告とは比べ物にならないほど、法律的知識や経済力、社会地位などに、優位に立っていると指摘しているが、これも、法律違反するかどうかとは、全く関係がない。
以上からでもわかるように、原告のいずれの主張も、民法信義則や90条などとは、全く関係がなく、被告はいずれの法律にも違反していない。
[第九頁~第十頁]—本件規約の適用について、「錯誤」がないことについて
原告は、「本規約に同意とクリックした≠光栄を神として認めた」とは違うので、「錯誤(→原告は同意した≠光栄は神、しかし、光栄の解釈は、同意 した=光栄は神であるから、これについての解釈の違いがあるから錯誤がある)」があると主張するが、しかし、本件ゲームのユーザは、規約全体を包括的に承 諾しているため、錯誤は存在しません。
[第十頁~第十一頁]—本件削除行為を行う権限は、規約から付与されたものであり、違法ではない、そして、規約違反の判断基準
原告は、規約違反しているかどうかは客観的第三者である裁判所が判断すべきと主張しているが、それではあまりに非現実的である。
よって、光栄が規約から付与された権限で、独自に判断するのが、最も現実的で合理的である方法である。
何よりも、光栄はもともと「現実的危険性でない、抽象的(潜在的)危険性」に対しても、規約違反として処断する権利を有する。そして、与えられなければならない。
何しろ、「本当に違反が起こっては遅い」からです。だから、未然に防ぐために、「抽象的危険性」がある段階から、処断しなければ、快適かつ安全安心なゲーム内空間を維持することができない。
そして、この規約から付与された権限は、民法の信義則に反しておらず、よって、正当な権利である。
※ つまり、Gestapoというキャラクターは、現実的危険性が何らないと認めながら、「抽象的危険性」があるから、削除は正当であると主張しているのです。
[第十一頁~第十二頁]—本件削除事件は、違法でない
光栄は何度も、Gestapoの用語は、「ユダヤ人虐殺を行ったナチスドイツの秘密警察であるゲシュタポ」を指していることを証明している。よっ て、例えゲーム内で今まで一度もユーザからの抗議や通報、あるいは妨害がなくても、「抽象的危険性」として、他のユーザに不快感を与えると判断して、当然 である。
また、キャラクター名称が規約に違反した場合は、被告光栄は、削除する以外取れる方法はなく、よって、データを全削除するのは、全くもって合理的な処分方法である。
[第十二頁~第十四頁]—原告主張の判断要素 その1 現実世界での影響
原告は、Gestapoの用語は、日本では合法であると主張する。
しかし、例え日本で合法であるとしても、本件ゲームサーバは、光栄の私有物であり、光栄が自らの私有物の中に、禁じたいことを禁じる権利を有すの は、当然の権利である。これは、美術館の運営者が、撮影禁止を禁止することができるのと同様であり、もし利用者が違反した場合、退場させたり、その撮影 フィルムを処分してよいことと、同じことである。
よって、Gestapoの用語が、現実世界で合法か違法か、あるいはわが国の国民がGestapoの用語にいかなる感情を持つのかについては、全く問題ではない。
まして、Gestapoの用語は、わが国において、多数の国民が不快感を持っているのは紛れもない事実であり、例え放送禁止用語の中に入っていな くても、多数のナチス関連表現がわが国に出現していたとしても、これらはいずれもわが国の国民が、Gestapoの用語に反感を持っていないと証明できる ものではない。
再度強調するが、本件キャラクターGestapoを削除したのは、Gestapoが日本で違法であるわけでもなく、わが国の国民がGestapoに抵抗感があるかどうかとも関係なく、あくまで「光栄が自らの私有地であるサーバ内で禁じたいから、削除しても良い」のである。
よって、原告の主張は根本から間違っている。
[第十四頁~第十五頁]—原告主張の判断要素 その2 他の利用者の認識について
原告は、キャラクター頭上にあるキャラクター名称は、あくまで同一性を確認するためのものであり、当該利用者がなぜその名前をつけたのか、その名前の背後に何か意味・意図があるのかについて、深く考えるものではないと主張する。
しかし、この原告の主張は全く誤りである。頭上のキャラクター名称は極めて重要な情報であり、絶対に隠せないのはもちろん、他のユーザと協力する 時などは、常にキャラクター名称が大きな役割を果たすものであり、また、例え協力しないキャラクターでも、すれ違うだけでも、その名称を目にせざるを得 ず、さらには、バザーなどを行う際も、常に他の利用者の目にさらされるものである。よって、他の利用者にとって、不愉快なキャラクター名称の存在を許せ ば、それは一種の精神的爆撃であり、決して看過できるものではない。
[第十五頁~第十六頁]—原告主張の判断要素 その3 Gestapoと本件ゲーム世界の調和について
原告は、本件ゲーム内には、多数の現実世界で許されない「海賊行為」「強盗行為」「戦争行為」などが存在していると指摘し、よって、Gestapoのような名称のキャラクターが存在していても、本件ゲーム世界との調和性に問題はないと主張する。
しかし、本件ゲームは16世紀の大航海時代を背景としている。この背景において、20世紀のナチスドイツを連想させる組織の名称が出現するのは非常に不自然である。
また、本件ゲームの「海賊行為」「PK行為」などは、何れも残虐な描写を伴わない「いわば海賊ごっこ」のようなものであり、これは遊園地・テーマパーク内の海賊アトラクションと同じことである。
さらに、本件ゲームには、「安全海域」と「危険海域」の設定があり、PK行為をされたくない利用者は、危険海域に行かなければ攻撃されなくて済 み、同じく本件ゲームを楽しむことができるので、本件ゲームのPK設定は全く利用者に不快感を与えることはなく、残虐行為を行ってきたナチスドイツ秘密警 察であるゲシュタポと一概に論ずることはできない。
[第十六頁~第十七頁]—原告主張の判断要素 その4 光栄が開発した他のナチス関連ゲームと本件ゲーム利用者との関連性について
原告は、被告光栄がヨーロッパ戦線や提督の決断シリーズなど、多数のナチス関連ゲームを製造販売してきたと指摘し、光栄が反ナチスの企業ではな く、むしろナチスドイツ関連の表現で集客してきたので、光栄の運営する他のゲーム内に、ナチスドイツを連想される名称は許容されるべきであると主張する。
しかし、光栄はすでに主張してきたように、提督の決断シリーズも、ヨーロッパ戦線も本件ゲームとは無関係である。まして、これらのゲームはいずれも大昔のものであり、その時代のゲームをプレイしていた利用者が本件ゲームを利用しているとは限らない。
[第十七頁~第十八頁]—原告主張の判断要素 その5 本件ゲーム内の他の利用者がGestapoに対する反応について
原告は、今まで本件キャラクターGestapoに対してあらゆる苦情、妨害、通報が存在していないと主張する。また、ネット世界で、面と向かって苦情を言うのは、現実世界よりも心理的負担が少ないとも主張する。
しかし、自らのキャラクターをGestapoという残虐な名称を付けるようなとんでもない利用者に対して、妨害したり、苦情を言ったり、光栄に通報したりすれば、激しい報復を受けることを恐れて、一般的には恐ろしくて妨害や苦情を言うなどできないのが通常である。
よって、今までGestapoが何ら抗議を受けずにまた妨害されたことがないといって、他の利用者が本件キャラクター名称に対して不快感を示していないとはいえない。
[第十八頁~第十九頁]—例えシステム上に名称が付けられても、それは光栄がその名称を承認したことにはならない。
原告は、光栄が事前に禁じたい名称を禁じる技術力を持っており、かつ、光栄自身が発行したガイドブックでも、「システム上で付けられる名称はすべてOK」と記載してあることから、システム上に付けられる本件キャラクターの名称は規約違反に当たらないと主張する。
しかし、光栄は、キャラクターが作成された時に、当該キャラクター名称をスクリーニングする体制を取っていない。あくまでGMを巡回させる方式をとっており、見つかり次第対処するという体制をとっている。
これは、現実世界の警察の巡回同様、迅速に100%の事件をすべて対処することは不可能である。
もし、この巡回体制、あるいは事前チェック体制を構築しようとすれば、光栄側は莫大な負担を強いられ、経営を圧迫することになるので、光栄は私的企業であ る以上、経営資源をビジネス上の合理性に応じて分配する権利を有し、本件ゲームにおいて、「GMによる目視巡回」という体制が最も合理的であると判断した までである。
従って、被告光栄は、キャラクター名称を登録した時点で、利用規約に適合しているかどうか判断していないため、システム上キャラクター名称が付けられても、被告光栄がそのキャラクター名称を許容したとする原告の主張は誤りである。
[第十九頁]—キャラクター名称はプレイスタイルの一部ではない
原告は、キャラクターの名称を付けてプレイすることも、プレイスタイルの一部であると主張する。
しかし、光栄の言う「プレイスタイル」とは「本件ゲーム内での行動」を指しており、キャラクターの名称を付けること自体は、プレイスタイルに含まれていない。
[第十九頁~第二十頁]—東京高裁平成11年3月18日判例は本事件と関係がない
原告は、三国志Ⅲのプログラムに関する東京高裁平成11年3月18日判例を本件裁判にも参考となるかのような主張をする。
しかし、同判決は本事件の論点である下記事項とは全く関係がない:
1.多数の利用者が参加して交流を行う、被告の管理する本件ゲームにおいて
2.他の多数の利用者に向けて表示されるキャラクター名称について
3.他の利用者及び被告に迷惑を及ぼすようなキャラクター名がシステム上は登録不可能とされていないことをもって、
4.当該キャラクター名を使用することについて被告が許容した
と解釈できるのか、というものである。
[第二十頁~第二十一頁]—光栄は、予め禁止用語を登録する義務がない
原告は予めナチスドイツ関連用語をはじめとする禁止用語を登録するのは、技術上容易であり、また、通常の利用者が理解できないような恣意的解釈をするのであれば、尚更予め禁止用語を登録しておくべきであると主張する。
しかし、そもそも「SS」も「ゲーリング」も「ヘス」も一義的な単語ではなく、ナチスドイツを連想する以外の意味も持っている。しかし、「Gestapo」はナチスドイツの秘密警察であるゲシュタポ以外ありえないのである。よって、このような光栄の解釈は、恣意的解釈ではなく、通常の利用者が理解できないものではない。
加えて、被告は本件ゲーム空間の管理方法を選択する権利を有しており、そもそも予め禁止用語を登録しておく義務がなく、また、キャラクター登録時 にキャラクターの名称が規約違反かどうかを判断する義務もない。被告が現在採用しているゲームマスターによる目視巡回で、発見出来次第規約違反かどうか判 断すれば足りるのである。
[第二十一頁~第二十二頁]—光栄が発行するガイドブックの記載は、利用者との契約内容を確定するものではない
原告は、被告が刊行する本件ゲームのオフィシャルガイドブックにおいて、予めシステム上に登録できない名称以外はの名称での登録を許容する旨の記載があることから、被告が「Gestapo」という名称の使用を認めるとの意思を有すると評価すべきであると主張する。
しかし、「特定のキーワードに触れる場合以外なんでもOK」と記載しているのは、あくまでも本件ゲームのガイドブックに過ぎない。
ガイドブックは、ゲームの遊び方を概説するものであって、利用者との契約内容を確定するものではないから、原告の主張は失当である。
[第二十二頁~第二十三頁]—キャラクター削除は、被告の空間管理権を超えていない
原告は、仮に「Gestapo」という名称が本件規約に違反していたとしても、キャラクター自体の削除は必要最小限の処置ではなく、被告のゲーム内空間管理権の範囲を超えると主張する。
しかし、被告は、規約違反の名称に対して、信義則に逸脱しない範囲での裁量により、あらゆるアップロード情報の削除ができるので、キャラクターの削除処分は適切であり、また以下の理由から、キャラクター名称の変更を許さないのも、当然である。
まず、キャラクター名称はキャラクターの同一性を判断するために重要な情報であり、名称変更を認めると、利用者は迷惑行為を行ったキャラクターを特定できなくなってしまう。
また、キャラクター名称の変更を認めてしまうと、被告から不適切なキャラクター名称を指摘されても削除されずに済み、不適切なキャラクター名の登録が蔓延することが懸念される。なお、この点については、原告は反論していないところである。
よって、被告が本件規約9(2)(b)に基づきキャラクターの名称によらず、キャラクターデータの削除をしたことは、信義則に逸脱しない範囲での被告の裁量によりなされた行為であり、違法ではない。
[第二十三頁~第二十五頁]—被告は長期間Gestapoを放置していない
前記のように、被告は経営資源を分配する権利を有す。つまり、被告はゲーム空間内で生じる種々な問題について、いかなる問題をいかなる方法で取り締まり、またいかなる問題についてどのくらいの労力を割くのかについては、被告が判断権を持っている。
よって、被告は、予め本件規約違反の用語を禁止用語として指定する義務はなく、GM目視による監視という方法で適切である。
なお、原告は、原告の信頼が保護に与えする根拠として、2年近くの長期にわたり課金したことを上げているが、原告のGestapoとの名称のキャ ラクターの合計プレイ時間は156時間32分49秒であり、課金期間も、登録後約2年間で434日(約1年2ヶ月)に過ぎない。しかも、この間、原告はも う一方のキャラクターをGestapoの10倍以上の合計1949時間23分46秒もの時間をプレイしている。
また、原告は、原告がキャラクター登録したのは平成18年9月10日であり、被告はこの時点でGestapoとの名称の電磁的記録に対してアクセ スができ、意思表示が到達されたものと主張するが、キャラクターの登録は、承諾の意思表示の通知でないのはもちろん、何らの通知ではないから、電子承諾通 知の議論は本件に無関係である。
さらに、原告は、キャラクターデータは被告サーバに常時保存されていたのであるから、被告は常時確認することが可能であったとして、被告の処理は迅速とはいえないと主張するが。
しかし、常時サーバ内のキャラクター名称のデータを確認することは労力を投入し、コストをかければ不可能とはいえないものの、現状の監視体制で は、ゲーム内空間を、ゲームマスターが目視にて監視しており、サーバ内のキャラクター名称のデータの確認を行う体制とはなっておらず、原告の主張する方法 による監視を現状では行うことはできない。そもそも、ゲーム内において、監視の対象とすべてデータ及び行為が多種多様に及ぶ以上、名称データとは限らな い、ゲーム内でのあらゆるデータ及び行為を常時監視をするとの体制を採用して初めてその一貫として、常時サーバ内のキャラクター名称のデータを確認すると の運用が可能となるのであり、そのような監視体制は甚大な労力及びコストを要するものであって、現実的ではない。
仮に、原告が主張する方法を採用した場合には、管理コストが増大してオンラインゲーム運営が著しく困難になるのであって、ゲームマスターによる目視による監視の方法が適切である。
従って、被告のGM目視巡回による体制は合理的であり、発見次第の対応も迅速であるため、被告の裁量権の濫用はない。
[第二十五頁~第二十六頁]—光栄は他のナチスドイツ関連名称を放置していない
原告は「SS」などのナチスドイツを連想させるキャラクター名称を放置していると主張するが、被告は、キャラクター名称が本件規約に違反するか否かは、当 該用語が多義的か否かで判別しているのであって、被告には裁量権の濫用はない。「SS」などはすべて多義的な用語であることから、規約違反ではなく、当然 削除する必要はないし、放置しているわけではない。
なお、原告の主張する「Gestapo666」というフランスのバンドは、日本での認知度は相当程度低く、日本人にとって「Gestapo」とは、ナチスドイツの秘密警察を意味する単語として一意に認知されている。
また、原告が本件ゲーム内に加入した商会は「納粹帝國」といい、「納粹帝國」とは、中国語でナチスドイツ帝国を指しているので、原告がGestapoをナチスドイツ関連用語としてキャラクター名称を登録しているのは明らかであり、原告の主張は到底信用できない。
ただし、「納粹帝國」との用語は、日本人に一般的に理解されていないため、規約違反ではなく、アップロード情報の削除対象とはならない。
[第二十五頁~第二十六頁]—被告が原告からの照会に応じなくても削除行為の合法性は変わらない
原告は、被告に対して、キャラクター名称の照会をしても被告は応じないことから、本件削除行為がゲーム内空間管理権の濫用の一要素であると主張する。
しかし、原告が被告にキャラクター名称の照会を行ったのは、事件後であり、本件削除行為とは関係がない。
[第二十六頁]—被告がナチスドイツを取り上げたゲームを作成していることは、本件削除行為の適法性とは無関係である
原告は、被告が他のゲームで、ナチスドイツの顧客吸引力を利用しながら、他方ではナチスドイツを連想させる「Gestapo」との名称の使用を禁止することは矛盾挙動で、ゲーム空間管理権の濫用の一要素であると主張する。
しかしながら、被告が他のゲームでいかにナチスドイツを取り上げても、本件削除行為の適法性とは何ら関係がない。
[第二十六頁~第二十九頁]—光栄の規約はプロバイダ責任制限法が参酌される余地がない
原告は、被告が行った警告が、通常のインターネットサービスプロバイダ(ISP)が送信防止措置を行う際に、プロバイダ責任制限法による免責を得るためになされる手続きに比べて、極めて不十分であると主張する。
しかし、すでに光栄が反論したように、本件規約は、プロバイダ責任制限法が参酌される余地がなく、その手続きと比較する主張は失当である。
原告の主張は自らの権利主張のみに終始するものであり、被告のゲーム空間管理権を侵害することを看過した議論にほかならず、原告の行為を放置することにより、他のユーザーからクレームを受ける可能性が存在することを無視するものであり、その主張は失当であるといわざるをえない。
[第二十九頁~第三十頁]—債務不履行も、不法行為にも該当しない
前記の通り、光栄の行ったすべての行為はいずれも本件規約に則した適法な行為であり、債務不履行も不法行為にも該当しない。
なお、不法行為に関して、原告は、被告の本件削除行為が、原告の表現の自由を侵害する行為であると主張するが、そもそも、本件ゲーム空間は、被告がそのゲーム空間を適切に管理運営するために定めた使用条件に従って利用するものであり、利用者の自由な表現の場ではない。
従って、被告は国家ではなく私人であり、憲法違反の議論が妥当しないことを措くとしても、原告には、本件ゲーム空間において、表現の自由は認められておらず、その侵害も生じない。
[第三十頁~第三十一頁]—本件ゲームキャラクターデータは金銭的な評価の対象とはならない
原告は、オンラインゲームのアイテムが現実世界の売買の対象とされていることや、育成代行業者の存在から、本件ゲームのアイテム、キャラクターのレベル・スキルなどにも財産的価値が認められると主張する。
しかし、本件ゲームにおいて、リアルマネートレーディング(RMT)行為は禁止されている以上、本件ゲームのキャラクターは現実世界で取引されるものではなく、あくまで自ら育成するほかなく、本件ゲームのキャラクターは金銭的な評価の対象とはなりえない。
なお、高松地裁判決平成18年11月17日は判決文の内容が明らかになっていない以上、参考にも値しないが、原告提出の資料の限りでは、有料アイテムの詐取が問題とされ、詐欺罪の成立が認められた事実のようであり、有料アイテムが存在しない本件ゲームには当てはまらない。
[第三十一頁~第三十二頁]—原告プレイ時間に関する主張の誤り
原告は「Gestapo」を原状回復するまで、再度育成するには、1800時間以上かかると主張するが、原告のGestapoとの名称のキャラクターの合計プレイ時間は156時間32分49秒であり、原告の主張は、到底信用できるものではない。
なお、この間、原告はもう一方のキャラクターをGestapoの10倍以上の合計1949時間23分46秒もの時間をプレイしているので、本件キャラクターGestapoは「サブキャラクター」として利用していたものにすぎないことがわかる。
また、原告の提出した育成代行業者に依頼した場合の見積もり額についても、1日24時間×5-6ヶ月という計算で、それでは4320時間になるので、原告の主張する1800時間とかけ離れており、全く信用できるものではない。
さらに、本件ゲームの使用料金が月額1575円にすぎないことからしても、原告の請求金額は不相当に過大であるといわざるをえない。
[第三十二頁~第三十三頁]—精神的損害に関する原告主張の誤り その1 憲法上の基本人権についての誤り
原告は、被告が、原告がGestapoと命名し、外部に表示する表現の自由を侵害したと主張するが、本件ゲームのすべての利用者は、被告はゲーム空間の管 理権限に基づいて設定する利用条件に従って本件ゲームを利用することができるにとどまるのであり、そもそも表現の場ではないし、Gestapoと命名する 行為も、表現の自由に基づくものではない。
また、原告は自己がナチスドイツ思想を有するものと決め付けられ、かつ当該思想のみを理由として「Gestapo」との名称のキャラクターの削除 という不利益を課された結果、思想・良心の自由を侵害されたものと感じ、同時に、信条を理由として不平等の扱いを受けたと感じたと主張する。
しかし、被告は本件規約に基づいて、削除理由に該当する具体的な条項を示した上で、Gestapoとの名称のキャラクターを削除したのであり、削除理由の説明としてはこれで十分であるのだから、それ以上の説明をしなかったことをもって、原告がナチスドイツの思想を有する者ときめつけたことにはなりえず、思想を理由としてGestapoとの名称のキャラクターデータを削除したものではないことは明らかである。
従って、被告が国家に匹敵する機関ではないことを置くとしても、表現の自由(憲法21条1項)、思想・良心の自由(憲法19条)、平等権(憲法14条)を侵害する余地はない。
[第三十三頁]—精神的損害に関する原告主張の誤り その2 原告プレイ時間に関する主張の誤り
原告は2年近くかけて育成したGestapoとの名称のキャラクターが削除された旨を主張するが、原告のGestapoとの名称のキャラクターの合計プレイ時間は156時間32分49秒であり、課金期間も、登録後約2年間で434日(約1年2ヶ月)に過ぎない。
再度自ら育成するためには1800時間以上かかるとしつつ、2年近くかけて育成したGestapoとの名称のキャラクターのデータを削除されたな どという原告の主張は課金期間、自らのプレイ時間という自らも当然把握している客観的事実をことさら無視して虚偽の主張を展開するものといわざるをえな い。
[第三十三頁~第三十五頁]—精神的損害に関する原告主張の誤り その3 被告のあらゆる対応が適切であったこと
原告は、被告が一旦トラブルになった利用者に対して、更なるトラブルを避けるための最低限の努力すらしないことを理由に著しい精神的苦痛を受けたと主張する
しかし、
1.被告は本件削除行為の詳細の理由を利用者に回答する義務はない
2.手続き上に違法性はない
3.特定のキャラクター名称が本件規約違反かどうかについての照会に対して、被告が回答すべき義務もない
4.一旦トラブルになった利用者に対しても更なるトラブルを避けるための努力というが、そもそもそのような義務はない
5.他の利用者に対しても同様に対応しているのであり、原告を特別に差別したわけではない
などの理由から、被告が非難されるべき理由はない。
また、原告は被告が平成20年11月13日に新たに制定した「大航海時代Onlineサービス利用規約」は、利用者がさらに不利な立場に置かれる と考えられたなどと主張するが、この規約は、本件規約9(2)(b)や15(g)などとは関係がなく、また本件規約9(2)(b)や15(g)が変更され たわけではない。
そして、原告は被告との交渉や訴訟のために費やした時間、費用は莫大なものであり、原告は被告のかかる対応のために極めて強い肉体的・精神的ストレスを受けたなども主張する。
しかし、そもそも、交渉や訴訟のために費やした時間・費用は、弁護士費用、訴訟費用などを除き、当事者自らが負担せざるをえず、損害として相手方 に請求できないものである以上、精神的損害との形をとって、実質的に損害として認めることを主張する原告主張は誤りといわざるをえない。
[第三十五頁]—結語
以上の通り、本件削除行為は本件規約に基づいてなされた適法な行為であり、原告の請求には理由がないから、直ちに原告の請求は棄却すべきである。
以上。

支援者・地裁での第6回出廷

この度、本会議支援者の訴訟(東京地方裁判所 平成20年(ワ)第36662号 損害賠償等請求事件)については、平成21年7月8日(水)午前10時00分より東京地方裁判所民事第28部で、被告第2回弁論準備手続(通算第6回)が行われました。
~出廷の実際状況~
合議審になったため、担当の3人の裁判官に加え、当方からは、Rescue会議支援者担当弁護士1人、被告光栄側からは、委任弁護士3人、光栄社担当方2人らが出席しました。
1.被告光栄が、6月30日に送付された被告第2準備書面を陳述し、関連証拠を提示した。
2.原告側が、被告第2準備書面に対する反論として、「原告最終準備書面」及び「原告第2回陳述書」を提出した。
3.裁判官より、「6月中旬に、一度裁判所より『被告側光栄が本件キャラクターのレベルの100%、アイテム等の90%程度の回復』を条件に、和解の打診があったが、原告第2回陳述書を見る限り、和解するつもりはないようですが、原告は本当にそれでいいのですか?」と尋ねた。
4.原告代理人が、「現状での被告の提示された和解案に応じることはできない」と回答。
5.裁判官は本日で結審し、9月16日に地裁判決を下すと決めた。
原告側が和解案を事実上拒否したため、あとは9月16日の判決を待つだけとなります。また、1審判決後、10月2日前後までに、高裁への控訴を双方が決めなければなりません。もし、高裁へ控訴した場合、高裁判決まで、さらに半年程度かかる予定です。
なお、「被告光栄第6回出廷弁論内容(被告第2準備文書)」、「原告が法廷当日で反論した内容(原告最終準備文書)」、及び「原告が法廷当日に提出した第2回原告陳述書」の内容については、内容が膨大であるため、後日追って公表します。

第六次法庭我方當庭原告第二次陳述書概要

對於上述第六次法庭光榮正式反論書, 我方以「第六次法庭我方當庭反論書」當庭正式反論, 並且提出以下的第二次原告陳述書做為細部補充. 其概要內容如下:
1. 關於被告光榮是「蓄意收費一振子之後再單方面解約的累犯」:
首先, 被告於第六次法庭中提出的第三準備文面裡, 有複數的部分, 對我(=原告)本人做出人身攻擊, 指稱原告本人是騙子, 主張的內容完全沒有可信度等等.
對此, 我認為, 被告光榮才是屢次以「明知有(光榮所謂的)違規存在, 還蓄意收費近兩年後, 再找莫名其妙的理由來單方面解約, 並且往後裝死不管」的累犯. 這點, 上次陳述書所提到的我的多數的朋友—Rescue會議的成員正是如此被KOEI所待遇. 而且, 這樣的例子, 不只本件遊戲才存在. 在Rescue會議事件之前約一年的2006年起, KOEI就在其營運的另一線上遊戲之信長的野望Online也做出了完全與Rescue會議事件一樣的單方面的解約行為(雖沒有提出具體被害者名稱但是此案被害者有例如信On的蒼雷大等. 提出光榮官網公告處分信On玩家為物證)
光榮對本案聲稱, 刪除角色連「部分解約」都不算, 那麼, 試問, 永久凍結帳號(=實質上的砍號)是否在光榮眼中也連「部分解約」都不算呢?
此外, KOEI營運的另一個線上遊戲之三國志Online, 這個遊戲是在本遊戲之後才開始營運的遊戲, 尚未做出類似Rescue會議或者信長的野望Online的處分. 此外, 確實如KOEI所主張的, 他們有派GM在遊戲內以巡邏的方式管理遊戲. 請看我提出的物證之圖, 此圖內的玩家也是我認識的, 法官大人可以看到, 被告KOEI的GM確實的有向此玩家警告其為「光榮所謂的海外不正連結」, 也就是說, 光榮有把握到此人是「違規者」, 但是, 光榮對此人的對應, 卻是不與處分, 且至今繼續不斷的收取該人所付的遊戲費用.
由此可見, 「明知有(光榮所謂的)違規存在, 還蓄意收費近兩年後, 再找莫名其妙的理由來單方面解約, 並且往後裝死不管」是光榮的常套手段, 光榮一再的以同樣的手段, 騙取消費者的付費, 並且以違法的方式, 單方面的對消費者大量解約.
此外, 在這些所有KOEI營運的遊戲當中, KOEI對所有消費者的對應均為:
「光榮沒有義務, 且有權力不告知違規判斷基準」
「光榮沒有義務, 且有權力不告知違規時的量刑基準與做法」
「光榮沒有義務, [...]

第六次法庭我方當庭反論書(中文)

對於上述第六次法庭光榮正式反論書, 我方做出了當庭反論, 並且提出第二次原告陳述書. 概要內容如下:
[第一頁~第二頁]本禁止條款拘束力
關 於契約畫面右邊的scroll的問題, 一般而言, 若採用scroll方式, 應該記載「請(scroll後)將契約整個看完之後再按同意」, 但是, KOEI的規約卻只有記載「請讀以下規約」, 且scroll的顏色與背景相同, 消費者不容易發現到其存在. 因此, 說「這樣的標示不夠明瞭」並不是太過分的.
且我方提出的論文, 都是以「沒scroll就按同意是無效的」為基本, 更別說KOEI的規約幾乎整篇都是為了逃避責任與推卸責任給消費者的條文, 即使這樣的規約不存在, 或者本禁止條款根本沒有任何拘束力, 也不影響消費者與KOEI以付費的方式實質上達成的「契約行為」, 即契約行為一樣可以被執行, 即KOEI這個規約根本沒有存在的價值.
[第二頁]本禁止條款明顯限制消費者的權力
KOEI 主張, 「刪除角色由於玩家可以再重練, 所以沒有任何影響, 更不算部分解約行為」, 但是, 本遊戲是以長期的使用同一角色遊玩為前提的契約, KOEI卻將其最基本的部分給否定, 這樣逃避責任並且無視消費者權力的作為, 根本連現行法令都不需要比較也知道KOEI是在詭辯.
[第二頁~第三頁]本禁止條款違反民法誠信原則
被 告KOEI一方面指稱KOEI的規約是民法商法所管轄範圍之內, 但是另一方面又明知民法商法內沒有明文規定「線上遊戲規約該怎麼寫」, 而強說自己的規約是「不牴觸法令的範圍之內, 並非有無限大的權力」但是由於沒有違反法令, 所以沒有違反誠信原則, 而因為沒有違反誠信原則所以不算限制消費者的權力(不牴觸消費者契約法第10條).
而KOEI這樣的論點, 根本是循環論法, 由於光榮根本在制定規約時, 就可以不制定對消費者單方面不利的條款, 而不需要故意籠統的制定後才說那沒違反民法商法, 因此消費者契約法不能適用.
如此「整體不恰當的契約」在日本律師公會編的論文當中, 屬於「蓄意的將規約訂立在法律的灰色地帶, 讓絕大多數消費者無從抗議並且無法可循, 單方面的損人利己」的不當契約(=違反消費者契約法的契約). 而KOEI的「大航海時代服務利用規約」中明文記載的「即使本規約內容違法, 只要該法律沒有強制力或者罰責, KOEI就一律不遵守, 優先自己的規約」正是證明了這點.
因此, 即使依照被告光榮的循環論法中「本禁止條款不違反誠信原則」的論點, 這樣的契約依舊違反消費者契約法第10條.
(※ 蓄意制定「走法律邊緣, 漏洞」的契約而帶給消費者不利益, 是違反消費者契約法規定)
[第三頁~第四頁]關於KOEI的裁量權
被 告KOEI主張被告有權判定是否有「抽象危險性」以及做出必要的處分, 不需要經過法院判斷. 但是, [...]

支援者東京地方法院第六次開庭狀況

[訴訟編號: 東京地方裁判所 平成20年(ワ)第36662号 損害賠償等請求事件]
本會支援者官司(「東京地方裁判所 平成20年(ワ)第36662号 損害賠償等請求事件」)第六次開庭(被告第三次準備), 於2009年7月8日上午10時00分於東京地方法院民事第28部召開.
出席者除了合議庭的三位法官外, 我方委任律師一人, 被告委任律師三人, 以及被告光榮公司(コーエーテクモホールディングス、東証1部3635<3635.T>分公司)代表2人(1男1女, 看起來都是30歲後半~40歲前半, 與上次一樣的出席者).
開庭的經過如下:
1. 被告KOEI陳述其6月30日送達之以下被告第三次準備文面內容
2. 我方當庭陳述我方第三次準備文書(對上述KOEI的文書的反論), 以及原告第二次陳情書(陳述書)內容.
3. 法官向原告委任律師確認:法院在6月中旬曾經向雙方提出和解的提案, 而被告KOEI提出了以「恢復一部分角色內容(角色等級100%, 虛寶90%)+更改名稱」的條件. 但是, 看原告本次當庭提出的第二次陳述書中的記載, 原告似乎沒有和解的意願, 請問原告真的不願意和解嗎?
4. 我方律師回覆, 原告無法接受現階段被告所提出的和解條件.
5. 法官宣告, 今天正式結審, 一審正式判決於2009年9月16日下達.
由於原告拒絕和解, 因此此後應該沒有和解的可能性, 一切等9月16日正式判決下達. 而正式判決下達後, 雙方必須於10月2日之前確定是否要上訴到高等法院.
若雙方上訴到高等法院, 則必須在50天內提出上訴正式文書, 提出後約1個月後高等法院將會開庭, 且本案的情況下, 當庭結審的可能性極高, 因此, 當庭結審後, 約2-3個月後, 高等法院的正式判決將會下達.
而本案由於法律上為重要事項, 且為日本首案, 因此我方再度評估後, 認為有可以上訴到最高法院的機會.
—————————————————————————–
共41頁, 其中1-5頁為目錄, 第41頁為證據說明書. 以下頁數以「本文部分」為計算.
<第六次開庭對方的反論>—本文共35頁份
第六次開庭(一審最後依次)於7月8日舉行, 之前的6月30日, 光榮方面律師寄送了以下內容的反論書給我方律師, 以及東京地方法院.
[第一頁~第三頁]—關於KOEI的規約有沒有明確的標示, 以及不用scroll的方式的契約是否一樣有效
1. 準則上承認網路契約有效, 而本規約為網路契約, 因此有效
2. 原告所提出的不scroll不能按同意, 準則並沒有這樣規定, 且原告提出的三個論文都不值得信賴. 且其內容只是說明「最嚴謹的網路契約是一定要將scroll拉下來, 讓消費者看完契約內容後才能按同意按鈕」, 而不是強制要這樣做, 或者不這樣做契約本身就無效
由此可見, [...]

支援者・地裁での第5回出廷—その1

この度、本会議支援者の訴訟(東京地方裁判所 平成20年(ワ)第36662号 損害賠償等請求事件)については、平成21年6月4日(木)午後2時30分より東京地方裁判所民事第28部で、原告第2回弁論準備手続(通算第5回)が行われました。
~出廷の実際状況~
当方からは、Rescue会議支援者担当弁護士1人、Rescue会議支援者本人、被告光栄側からは、委任弁護士3人、光栄社担当方2人らが出席しました。
1.原告第2準備書面、原告陳述書及び関連証拠の提示。
2.裁判官が被告側に対して、再び反論するのかについて尋ね、被告側弁護士はなんとしても再反論したいと回答した。
3.当方(原告側)弁護士は被告側が再反論したいとの申し出について、「双方は事実関係に殆ど争っておらず、法的解釈のみ争っているのであり、また新たな証拠の提示もほぼ考えられないため、これ以上の反論は無意味である」と発言した
4.裁判官は、被告光栄にもう一度反論する機会を与えると回答。
5.当方弁護士は直ちに:「原告陳述書内でもはっきり申し上げた通り、今回の事件及び裁判は、原告にとって、精神的・肉体的に多大の負担をかけており、事実関係が明らかで何ら新しい証拠がない以上、今回で結審をすべきだ」と反論した。
6.裁判官は「公平を期すため、原告訴状→被告反論→原告再反論→被告再々反論・・・」という順で裁判が進められており、最終的には被告の反論で結審するのが公平だと主張し、改めて被告へ反論の機会を与えると言い渡した。ただし、原告の負担についても考慮し、次回の法廷で結審すると約束した。
7.裁判官、双方の代理人が協議し、次回の法廷は7月8日(水)朝10時に開かれ、そのまま結審すると決まった。
以上によりまして、次回7月8日に、本件裁判の1審が結審する予定であり、正式の判決は結審後2-3ヶ月で下される、つまり、今年の9-10月に、1審判決が判明する段取りとなっている。
なお、原告Rescue会議支援者側の答弁の概要は以下のとおりです:
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2009年6月4日に法廷が開かれる直前の5月30日に、原告側代理人から、法廷の準備文書を被告側、そして裁判所に送付した。
~第5回法廷での原告側の答弁~ 20000文字前後で計29ページ分、(他20000文字に及ぶ原告陳述書と、証拠文書多数あり)
[第一頁~第三頁]— 本件禁止条項の違法性、法的拘束力について
(1) 本件禁止条項の法的拘束力について
原告は準則Ⅰ-1-2 1.の「利用規約が明瞭に表示されている」はスクロールしなくても同意ボタンがクリックできなくすべきとは書かれておらず、原告の独自の見解であると主張したが、これに対して、規約が長文となりウェブサイトの画面上で一覧できる形で開示できない場合にはスクロール機能を利用して全文を閲読した場合でないと契約締結ができないようにする必要があるとの見解を、インターネットに関する法分野を取り扱っている多くの文献を提示し、有力の見解であると証明した。
(2) 本件禁止条項が消費者契約法等により無効であることについて
被告は今まで一貫として、「コーエーの規約が仮に事実上自らに無限大の権利を与えているとしても、あらゆる現行法・判例で明確に禁じていない以上」、消費者契約法上の「現行法や現行の判例と比較して消費者の権利を制限する」とは当たらないと主張した。(=「民法、商法その他の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限」)
しかしながら、日本弁護士連合会編「コンメンタール消費者契約法」や同編「消費者法講義第2版」などによれば、消費者契約法10条は、問題とされる契約条項がなければ消費者に認められていたであろう権利義務関係と問題の契約条項が規定する権利義務関係とを比較して、後者が消費者の利益を制限しまたは義務を加重する場合に広く適用される規定であり、同条項の「公の秩序に関しない規定」と比較できる場合に限られないとあった。
また、仮に「公の秩序に関しない規定」との比較が必要であるとしても、本件禁止条項中の、「当社による(り)認められる場合」(9.(2)(b)、15.(d))、「当社の裁量において」(9.(2)本文)との文言は、債務不履行に該当する客観的事実が存在しなくても運営者が「不利益・迷惑等を及ぼす」等と判断しさえすれば一方的に解除できる点で、債務不履行事由という客観的事実の存在を必要とした民法540条が適用される場合に比べ、原告被告間で締結された本件ゲームに関する本件使用許諾契約に基づいて、原告が有する自己が育成したキャラクターを使用する権利の行使を不当に制限するものである。
さらに、本件禁止条項中の、「事前通知を行なうことなく」(9.(2)本文)との文言は、運営者の解除が事前の催告なしで認められる点で、相手方に対する相当の期間を定めた催告及び解除権行使の意思表示を必要とした民法540条、541条が適用される場合に比べ、原告の上記権利の行使を不当に制限するものである。
なお、本件では本件利用規約自体は解除されていないものの本件キャラクターにより本件ゲームを以後プレイできなくなる点で契約の一部解除に該当する。また、被告が原告に対してしたと主張する「警告」は債務の履行を促すものではなく削除する旨が断言されている点で催告として無意味であり、そもそも本件規約の文言上「事前通知を行なうことなく」とされているから、本件規約は文言上消費者契約法10条の「民法、商法その他の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限」に該当する。
[第三頁~第五頁]— 本件禁止条項は「民法第一条第二項に規定する基本原則」に反する
本件禁止条項は、以下の事情から「民法第一条第二項に規定する基本原則に反し」に該当する。
①        本件使用許諾契約において、利用者は自己のキャラクターを育成して長期的・継続的に本件ゲームをプレイすることを予定しており、ささいな債務不履行があった、それも運営者に一方的に判断された場合ですら、常に一部解除が認められるのでは、利用者の不利益が大きすぎること
②        債務不履行事実の存否は裁判所により客観的に判断されるべきものであるにもかかわらず、契約の一方当事者にすぎない運営者が「不利益・迷惑等を及ぼす」等と判断しさえすればその判断の合理性を問わずに何時でもキャラクターを削除することができるとの条項は、当事者間の公平をあまりに害すること
③        通通常の利用者も運営者の一方的判断で、(冤罪を含め)運営者の一方的判断でキャラクターデータを含めたあらゆる電磁的記録を削除できるとの条項を同意することはありえず、本件禁止条項を承諾することは通常の利用者の合理的意思に反すること
④        本件禁止条項が、「当社又は他のユーザーに何らかの不利益・迷惑等を及ぼすもの」、「他のユーザーが嫌悪感を抱く、又はそのおそれ」という極めて不明確な文言が多用されており、しかもその該当性を運営者が一方的に判断してよいとすると利用者にとって規約違反に該当するかが全く予見できないこと
⑤        本件禁止条項以外にも本規約には「2.本規約の変更」「5.登録不承認と登録取り消し」「6.ユーザー資格の取消しと一時停止」「8.ユーザーの自己責任の原則」、「10.サービスの不保証」、「11.本サービス内容の変更」、「12.本サービスの中断」、「13.本サービス内容の中止」、「17.免責事項」、「19.準拠法と紛争解決」など消費者契約法8条又は10条により無効とされるべき条項が多数存在する。また、形式面から見ても、本件規約がそれ自体長文かつ複雑なうえ、本件禁止条項がスクロールボックス内の規約を下にスクロールさせなければ表示されない見えにくい位置に掲載されている点で消費者契約法3条にも違反する。さらに、本件ゲームに適用されるとされている規約は本件規約のほか、『大航海時代 Online』使用許諾契約、『大航海時代 Online』著作物利用規約、『大航海時代 Online』掲示板利用規約、『大航海時代 Online』サービス利用規約があるが、これらの規約を別々に制定する意味が不明であるほか、例えば、本規約19.は横浜地方裁判所を専属管轄裁判所としているのに対して、『大航海時代 Online』サービス利用規約第13条(5)は東京地方裁判所を専属管轄裁判所としているなどと、規約相互が矛盾抵触し、これらの大量の規約により消費者を混乱させ、被告に有利な条項をその中に隠蔽している点でも消費者契約法3条にも違反するなど、本件規約全体が消費者契約法の趣旨に反する形式・内容となっていること
⑥        本件規約が運営者の都合のみで一方的に作成した定型的な約款であり利用者と運営者は条項の修正等について交渉する余地がなく、利用者は「承諾する」をクリックする以外に本件ゲームを利用する方法がないこと
⑦        被告が、ゲームソフトの企画・開発・販売等を行ない海外にも多数の関連会社を有する東証一部上場会社であり、個人である原告に対して法律的知識、経済力等の点で比較にならないほど優位に立っていること
以上より、本件禁止条項は、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の権利を一方的に制限するものであるから、消費者契約法10条により無効である。
また、本件禁止条項は、上記①ないし⑦の事情から、公序良俗にも違反するものであり、民法90条によっても無効である。
なお、台湾においても、台湾経済部及び台湾消費者庁が台湾消費者保護法に基づき出したオンラインゲーム規約に対する強制力と罰則のある政令「線上遊戲定型化契約應記載及不得記載事項」中の貳、不得記載事項の八において、「理由なく任意に一方的に契約の中止をすることができる規定」などは無効である旨の明文規定がある。
[第五頁]— 本件禁止条項について原告に錯誤があることについて(※ 原告は「同意ボタンをクリックした=運営側を『神』として認めたとは考えていなかった」、しかし、光栄側は事実上「同意ボタンをクリックした=光栄を『神』として認めた」と主張していることから、「錯誤」がある)
被告は、特定の条項についてのみ意思表示の錯誤があったとする原告の主張は失当であると主張する。
しかしながら、錯誤無効につき、一部無効が認められることは判例上明らかである(最判昭和54年9月6日民集33巻5号630頁)。したがって、被告の主張は失当である。
[第五頁~第六頁]— 本件禁止条項該当性について(原告が本当に本件禁止条項を違反したのか)—概要
仮に本件禁止条項の全部または一部が原告に対して拘束力を有し、かつ有効であるとしても、本件ゲームは利用者が長期間(数千時間以上)にわたりプレイすることを前提として締結される継続的契約である。また、利用者は、自己が育成したキャラクターを継続的に使用して本件ゲームをプレイできることを前提として本件使用許諾契約を締結し継続的に利用料を支払っており、被告が利用者の育成したキャラクターを削除することは当該利用者にとって本件ゲームの著作物を使用する権利そのものを奪うに等しい重大な影響を及ぼす。
したがって、本件禁止条項に該当するというためには、被告や他の利用者に不利益・迷惑を及ぼす抽象的な可能性では足りず、具体的かつ現実的な危険性がなければならず、また、その判断は被告の主観に基づくものではなく、中立的第三者である裁判所により客観的に判断されなければならない。(つまり、双方がともに当事者であり、判断は中立的第三者、つまり裁判所がすべきところ、KOEIは現行法で明文化していないことを理由に、自らを裁判所よりも上の立場にあるかのような主張をし、裁判所と司法の存在を事実上無視したのではないか?ということです。)
そして、その判断の際には
①「Gestapo」の用語の使用が現実世界で他人に与える影響
②本件ゲーム内におけるキャラクター名の表示に対する他の利用者の認識
③本件ゲーム内の世界観との調和
④被告が開発する他のゲームの性質及び他の利用者のゲームに対する認識
⑤本件ゲームの利用者の実際の反応等を考慮して、当該キャラクター名の使用が本件ゲームの通常の利用者に嫌悪感を与える具体的かつ現実的な危険性を有するか否かを判断すべきである。
なお、本件禁止条項該当性は請求原因事実に対する抗弁事項として被告が主張立証しなければならず、原告は反証で足りる点にも留意すべきである。
[第六頁~第七頁]— 本件禁止条項該当性について(原告が本当に本件禁止条項を違反したのか)—①「Gestapo」の用語の使用が現実世界で他人に与える影響
「Gestapo」の用語の使用それ自体は、我が国において適法であり、また、一般人に与える嫌悪感も皆無に等しい。
まず、民主主義を否定する思想であっても憲法19条(思想・良心の自由)のもとでは絶対的に保障される。また、思想の表明としての外部的行為は、憲法21条1項の表現の事由の一環として保障され、当該行為が公共の福祉に反する場合には規制され得るものの、行為の基礎となった思想、信条を理由に規制されることはない(渋谷暴動事件上告審判決最判平成2年9月28日判タ746号107頁参照)から、ナチスドイツの秘密警察を連想させる用語の使用自体が法令違反行為に該当することはない。
さらに、日本においては、被告がナチスドイツの登場する「ヨーロッパ戦線」等のゲームを公然と販売し(甲16ないし甲18)多数の国民が購入していること、ナチスドイツの軍服を着た人物が公然とテレビ出演したり漫画やアニメ等でもナチスドイツを連想させる人物が頻繁に登場していること、放送禁止用語としてナチスドイツ関連の用語は上げられていないこと(甲30)などから、日本国民のナチスドイツを連想させる表現に対する抵抗感は皆無に等しい。特に、「Gestapo」は、ヨーロッパにおいてもその使用は許容されている(甲13、甲14、甲15)ことから、ナチスドイツを連想させる用語の中でも特に一般国民に与える抵抗感は乏しい。
このように、日本国内で「Gestapo」との用語を使用することは法令に違反せず、かつ、他人に不快感・嫌悪感を与えることも皆無に等しい。
これに対して、被告は、ナチスグッズ販売サイトでの注意書きの記載を根拠にナチスドイツに関する表現に対して日本国民が少なからぬ抵抗感、嫌悪感を有している事実が現れているなどと主張する。
しかしながら、当該サイト運営者は、販売されている商品にドイツにおいて禁止される「SS」との文字やハーケンクロイツが付されていることを考慮して、または、現実の街中で軍服を着て歩くなど場の雰囲気にそぐわない行為などに対して注意を発したものであり、ナチスドイツを連想させる用語の使用自体に関して警告を発したわけではない。
また、被告が真にナチスドイツに関する表現自体に対して日本国民が少なからぬ抵抗感、嫌悪感を有していると判断しているのであれば、ナチスドイツ関係の表現が多用される「ヨーロッパ戦線」、「提督の決断」シリーズにおいて同様の注意書きをすべきところ、被告はこれらのゲームにおいてかかる注意書きをしていない。
[第七頁~第八頁]— 本件禁止条項該当性について(原告が本当に本件禁止条項を違反したのか)—②本件ゲーム内におけるキャラクター名の表示に対する他の利用者の認識
被告は、キャラクターの頭上のキャラクター名を非表示にする設定がないこと、キャラクターの容姿では個々のキャラクターを判別できない場合があること、本件ゲームでは複数の利用者が艦隊を組んで航行したり協力してクエスト(課題)を達成するなど利用者間での協力や交流が予定されているから、他の利用者のキャラクター名に着目しなければならず、利用者はキャラクター名を認識することが想定されていると主張する。
しかしながら、利用者がキャラクター名を認識することが想定されていることと利用者がキャラクター名に関心を示すかは別個の問題である。
他のキャラクターとの会話内容などと異なり、キャラクター名はその同一性を判断するための情報の一つに過ぎず、通常の利用者が関心を示す性質のものではない。
また、本件ゲームで他の利用者と艦隊を組んだり協力してクエストを達成するか、単独でこれらを行なうかは利用者の自由であり、また、どの利用者と協力するかも自由である。したがって、万が一利用者の中に自己が不快に感じるキャラクター名を使用しているキャラクターとは協力したくないと考える者が存在しても、その利用者は、不快に感じる名称のキャラクターと協力せずにいくらでも存在する他のキャラクターと協力すればよい。
被告自身も、「自分とプレイスタイルの合わないキャラクターに無理に合わせる必要もありません。」として協力したくないキャラクターと協力する必要がない旨を表明している(甲33)。
したがって、本件キャラクターの名称の故に他の利用者のゲームプレイの幅が制約されることはなく、ましてや本件ゲームの利用者が不快に感じて退会したり、ゲーム空間への評価が低下することなどはあり得ない。
[第八頁~第十頁]— 本件禁止条項該当性について(原告が本当に本件禁止条項を違反したのか)—③本件ゲーム内の世界観との調和
本件ゲームは、その世界観が現実世界に近い恋愛シミュレーションゲームなどではなく、ゲーム内の他のプレイヤーキャラクターとの戦闘などによりキャラクターを成長させるゲームであり現実の日本とは全く異なる世界観を有する。すなわち、本件ゲーム空間内ではプレイヤーキャラクター間の海上戦、陸上戦が日常茶飯事に行なわれており、国を挙げての大規模な海上戦(大海戦)などもある。また、本件ゲームでは海賊行為(被告の解説書によれば「危険海域において賞金首以外のプレイヤーキャラクターを攻撃する行為」)が許容されており、被告もこれを積極的に宣伝している。
ところが、海賊行為は現実世界においては国際法上違法であり(海洋法に関する国際連合条約105条)、その取締りのために安保理決議がなされるなど世界規模で海賊行為阻止が行なわれている。また、日本国の国内法上も強盗殺人罪、強盗致傷罪等の重大犯罪に相当する。
このように、(仮に「Gestapo」との名称が社会において否定的評価を受けるとしても)そのような名称のキャラクターが存在することは、現実世界における重大犯罪が公然と行なわれている本件ゲーム空間の世界観と調和すると考えるのが通常の利用者である。
また、本件ゲームでは、賞金首以外のプレイヤーキャラクター等を撃沈・拿捕すると加算される「悪名」という数値が存在し、「悪名」が一定値以上に上がると賞金首に認定され、他の利用者から攻撃対象にされやすくなる(甲31(15頁))が、無条件で海賊島に入島できるなどのメリットがある(甲32(4頁))。このような悪役をあえて演じることもプレイスタイルの一つとして許容されており、被告自身も:
————————————————————–
『大航海時代 Online』はロールプレイングゲームです。ゲームの世界の中でどのようなキャラクターを演じ、どのように生きるかといった、いわゆるプレイスタイルはプレイヤー自身が決めていくことになります。
ゲームシステムにおいて通常の操作としてできる行動は、プレイスタイルとして認められます。例えば、通常海域で賞金首に戦闘をしかける、危険海域で待ちかまえて通行船に砲撃するといった行為はハラスメントに該当しません。自分のキャラクターが置かれている状況を常に把握し、危険に対する防衛策を講じることもプレイヤー自身が行うべきことです。
『大航海時代 Online』の特徴として、大海戦などいくつかの状況において対人戦が可能であることが挙げられます。一般に、戦闘において相手を挑発することは、ひとつの作戦として有効であるといえます。『大航海時代 Online』の対人戦では、キャラクターの役割を演じるという範囲内であれば、相手を挑発する、あおるなどの行為をひとつのプレイスタイルとしてとらえます。
各プレイヤーのプレイスタイルは、規約に違反しない限りお互いに認められなければなりません。とはいえ、悪人を演じるキャラクターは、相手に快く思われないことを十分認識しておく必要があります。また、自分とプレイスタイルの合わないキャラクターに無理に合わせる必要もありません。
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と本件ゲーム内で表明している(甲33)。
さらに、本件ゲームの利用者の中には、全く知らない他の利用者から一方的に自分のキャラクターが攻撃される海賊行為に対して不快感を有する者がいるはずであるが、本件ゲーム空間においては被告が海賊行為を許容している。したがって、海賊行為を繰り返す悪役を演じるために社会において否定的評価を受ける名称をあえてキャラクターに付することもプレイスタイルの一つとして当然に許容されているというべきである。
したがって、(仮に「Gestapo」との用語が否定的評価を受けるとしても)悪役を演じるキャラクターを含め様々なプレイスタイルのキャラクターが存在する本件ゲーム空間内においては、否定的評価を受ける名称のキャラクターが登場することについて利用者に違和感を与えるものではなく、キャラクター名に違和感を有する利用者がいるとしても、海賊行為が許容されている本件ゲーム空間内において予定されているプレイスタイルの範囲内のものである。
[第十頁~第十二頁]—本件禁止条項該当性について(原告が本当に本件禁止条項を違反したのか)—④被告が開発する他のゲームの性質及び他の利用者のゲームに対する認識
被告は反ナチスを表明する傾向企業ではなく、むしろその開発・販売する「ヨーロッパ戦線」、「提督の決断」シリーズにおいてナチスドイツに関する標記を多用していること、被告の開発・販売するその他のゲームも「信長の野望」シリーズ、「三國志」シリーズ、「蒼き狼と白き牝鹿」シリーズ、「ランペルール」など戦争をテーマにしたものが多数を占めること、被告の開発・販売するゲームには固定ファンが多く被告の開発・販売したゲームをプレイした者は他の被告のゲームもプレイする者が多いことからすれば、被告の開発・販売するゲーム内では、ナチスドイツを連想させる用語を含む戦争に関する表現の使用が許容されると考えるのが通常の利用者の意思である。
これに対して、被告は、「ヨーロッパ戦線」、「提督の決断Ⅳ」は第二次世界大戦をテーマにしているのに対して本件ゲームは16世紀の大航海時代をテーマにしていること、本件ゲームには残虐な場面がないこと、本件ゲームはオンラインゲームであり老若男女が参加することなどから、「ヨーロッパ戦線」等でナチスドイツを連想させる用語を使用することが許されても、本件ゲームでは許されないなどと主張する。
しかしながら、「ヨーロッパ戦線」「提督の決断」シリーズのテーマである戦争は国際法上違法であり(国際連合憲章2条4項等)、「提督の決断」においては、利用者がいわゆる「裏技」として相手国に対して「新型爆弾」(核兵器と思われる。)を使用することが出来る(甲44)が、核兵器使用は国際法上違法な行為である(核兵器の使用及び威嚇の合法性に関する1996年7月8日国際司法裁判所勧告的意見参照)。これら現実世界の重大な違法行為をゲーム内で行なうことができる点で本件ゲームと共通する。
また「提督の決断」シリーズは海戦が中心である点でも本件ゲームと共通する。さらに、「ヨーロッパ戦線」「提督の決断」においては流血などの描写は登場しないものの、「提督の決断」における核兵器使用など残虐な行為を、残虐な描写を伴わない方法でゲーム内で許容している。本件ゲームも、他の利用者の意思に反し、そのキャラクターに対して一方的に危害を加え、それによってアイテムなどの利益を得る海賊行為という暴力的な行為が可能であり、残酷な行為を残酷な描写を伴わない方法でゲーム内で許容している。これについて、韓国のオンラインゲームに関する規制法であるレコード・ビデオアイテムおよびゲームアイテムに関する法(レビゲ法)は、プレイヤー間の戦闘行為が可能であること、これにより付加的な利益を得られることは、ゲームの暴力性を高める要素として規定されている。
その他、本件ゲームは例えば1869年に開通したスエズ運河、1914年に開通したパナマ運河が登場するなど、時代設計が曖昧である点などで、「ヨーロッパ戦線」「提督の決断」と本件ゲームのゲーム内容に本質的な違いはない。
「ヨーロッパ戦線」等と本件ゲームは、戦争をテーマにしている点その他で共通しているにもかかわらず、一方でナチスドイツを連想させる用語が多数登場するのに対して他方ではその一部の使用が禁止されていることが、パッケージやゲーム画面などの外見、規約等の記載、キャラクター登録段階における名前の入力段階、さらには被告に対する直接の問い合わせによってもまったく明らかにならない点で、被告が挙げる例とは根本的に異なる。
[第十二頁~第十三頁]—本件禁止条項該当性について(原告が本当に本件禁止条項を違反したのか)—⑤本件ゲームの利用者の実際の反応
原告は、平成18年9月10日の本件キャラクター作成以降、平成20年7月30日に削除されるまでの約2年間、他の利用者からチャットで苦情を言われたり他の利用者と接触した際に苦情・妨害を受けたりしたことはない。
また、被告も他の利用者から本件キャラクターの削除要求が来たことがないことを自認している(被告第2準備書面19頁)他、現実に他の利用者から被告に対して本件キャラクターの名称に関してクレームが来たり、本件キャラクター作成以後利用者が減少したことの主張・立証もない。このこと自体、他の利用者が「Gestapo」との名称に嫌悪感を有していないことを示している。
これに対して、被告は、現実世界において面前の人物に対して嫌悪感を抱いたとしても面と向かって苦情を申し立てることは一般的でないと主張する。
しかし、インターネットの匿名性という性質上、本件ゲーム上で苦情を述べることは、現実世界において面と向かって苦情を述べることに比べて心理的な抵抗は少ない。ましてや本件ゲームは利用者が他の利用者のプレイヤーを攻撃することが許容されているのであるから、他人に嫌悪感を与える名称を付したキャラクターに対して攻撃・妨害する利用者も容易に想定される。本件ゲームの上記の性質にもかかわらず、原告が本件ゲーム内で苦情を述べられたり、他の利用者のプレイヤーから妨害されたことがないということは、他の利用者は「Gestapo」との名称に嫌悪感を示していないことを表している。
[第十三頁~第十五頁]— 被告光栄のゲーム空間管理権について
被告コーエーは、ゲーム空間を快適に管理維持するために、光栄には規約によって付与される絶対的な空間管理権が必要だと主張する。
しかしながら、被告が主張するゲーム空間管理権が認められるためにはその根拠、行使要件が利用者に対して明確かつ事前に提示されていなければならないところ、利用者にこれらの要件が提示されていないにもかかわらず快適なゲーム空間の維持という曖昧な名目の下に、利用者の権利を制限することはできない。
特に、本件のようにキャラクター登録の場面でのキャラクターの名称自体の本件禁止条項該当性が問題となる場合では、被告はキャラクター登録画面のキャラクター名入力フォームに特定の文字の入力を禁止することによりゲーム空間管理権を行使すれば足りる。
被告が、キャラクター名入力フォームにおいて特定の文字の入力をプログラム上禁止しなかった場合には、当該文言のキャラクター名としての使用を利用者に対して許容したものであるから、キャラクター名入力フォームの使用禁止文字に該当せずにキャラクター登録が完了した場合には、以後、そのキャラクターのキャラクター名に対してゲーム空間管理権は及ばない。
被告自身も「ゲームシステムにおいて通常の操作としてできる行動は、プレイスタイルとして認められます。」と表明しているところであり(甲33)、登録段階で「適切でない」旨が表示されないキャラクター名の入力がゲームシステムにおける通常の操作の範囲内であることは明らかである。
なお、本件の被告である株式会社光栄が原告・控訴人となり、自己が著作財産権・著作者人格権を有するコンピュータ用ゲーム「三國志Ⅲ」に関する東京高判平成11年3月18日の判例では、新君主、新武将の能力値を入力するのに控訴人登録プログラムを用いるか否かは、ユーザーが自由になし得るものであり、著作者人格権(同一性保持権)侵害は成立しないとし、同一性保持権で保護されるべき範囲を示した。同時に、同一性保持権は著作者の主観的意図に反する改変をされない権利である(著作権法20条1項)から、プログラム上ある文字が排斥されず受け入れられるという事情は、利用者が当該文字を入力することが著作者である被告の意向に反しないという有力な事情になる。(つまり、システム上に禁じていない名称も、著作者である光栄がそれを認めるとの主観的意図であり、同一性保持権の観点からも、侵害すべきものではない)
この点、被告は利用規約に違反する全てのキャラクター名称を予め特定し、キャラクター登録できないようにすることはおよそ不可能であると主張する。
しかしながら、被告が本件ゲームではナチスドイツを連想させる用語の使用を認めないとの明確な意図をもって本件ゲームを開発したのであれば、ナチスドイツを連想させる用語は限られているのであるから、禁止文字として指定することは容易である。特に本件禁止条項の「他のユーザに不利益・迷惑」などが極めて不明確であり通常の利用者にとってこれに該当する具体的名称が明らかでないこと、被告のように「SS」、「ヘス」、「ゲーリング」が本件禁止条項に違反せず、「Gestapo」のみは違反するなどという通常の利用者が理解できない恣意的解釈をするのであれば、通常の利用者にとって使用が禁止される範囲を明確に示すべく、予め登録禁止用語を具体的に指定すべきである。
現に、被告は現に多くの単語について登録禁止用語を入力した場合に登録できないようになっている(甲19その他多数)のに対して、原告が本件キャラクターを作成した当時はもちろん、裁判となった現段階ですら「Gestapo」との名称を登録禁止用語として指定していないこと(甲41(添付書類14))、被告が刊行している本件ゲームのオフィシャルガイドにおいても、「すでに使われているものや特定のキーワードに触れる場合以外はなんでもOK」とあり、予め定められた登録が出来ない用語以外の登録を許容する旨の記載があること(甲31(13頁))から、被告は「Gestapo」という名称の使用を認めるとの意思を有していると評価すべきである。
以上より、原告がキャラクターに「Gestapo」との名称を付する行為は、本件ゲーム内でプログラム上可能となっているその他の行為と同様であり、被告のゲーム空間管理権は及ばない。
[第十五頁~第十七頁]— 名称違反行為に対するキャラクター削除は被告のゲーム空間管理権を超える
本件使用許諾契約は、本件ゲームの性質上、利用者が長期間プレイすることを前提として締結される継続的契約である。また、利用者の育成したキャラクターを削除することは当該利用者にとって本件ゲームの著作物を使用する権利そのものを奪うに等しい重大な影響を及ぼす。
さらに、オンラインゲームのキャラクターはそれ自体に財産的価値があり、キャラクターのレベル等によっては数百万円で取引されていること、本件キャラクターも120万円以上という多額の財産的価値を有するものであり2年近くも育成した愛着のあるものであることから、その削除は原告にとって特に重大な影響を及ぼす。
したがって、仮に「Gestapo」との名称が本件禁止条項に該当し被告のゲーム空間管理権がキャラクター名称に及ぶ場合であっても、他の利用者に不快感を与えないという目的達成にとって必要最小限度の措置を採れば足りる。具体的には、キャラクター抹消という利用者にとって重大な影響を及ぼす処分を行なうのではなく、キャラクター名の変更措置を採れば足り、キャラクター名を理由にキャラクター自体を抹消することはゲーム空間管理権の範囲を超える。
ところが被告は、キャラクターの名称のみを変更することが技術的に可能である(甲35—本件ゲームの台湾サーバでは、キャラクター名称の変更を認めている)にもかかわらず、本件キャラクター全体を削除している。
この点、被告が説明するキャラクター名称の変更を認めないという理由は、不正を行なったキャラクターの特定が容易であるとのものである(被告第2準備書面16頁)。しかしながら、キャラクター名称の変更を認めないとの規定は本規約に存在しないばかりか、不適切行為をしたとして通報されたキャラクターとの同一性判断は、利用者側からのキャラクター名の変更を認めず被告側からの変更を認めることにより解決可能であるし、キャラクター名の変更を認めた上、キャラクター名の変更履歴の調査によっても可能である。さらに、オンラインゲームのアイテムを現実世界において現実世界の売買の対象とすること(リアルマネートレーディング)は本件規約に違反するとされるが、被告が独自で調査するので利用者からの報告は不要である旨の注意書きがある(甲40)。したがって、被告の説明には何らの合理性がない。
したがって、本件削除行為は仮に本件禁止条項に違反するとしても必要最小限度の措置とは到底いえない。
なお、被告は、第三者に各種アイテム(所持金・所持品)を一時的に移行することにより同一アカウントの原告所有もう一方のキャラクターに各種アイテムを移行することができると主張する。
しかしながら、被告がしたと主張する警告(乙11)にはアイテムの移行方法に関する記載がない。また、本規約8.及び17.などによれば、被告は第三者に各種アイテムを移行後持ち逃げされた場合に責任を負わないとされているため、利用者は自己の責任で各種アイテムを持ち逃げしない信頼できる第三者を探し出さなければならなくなるが、通常、本件ゲームを通じて知り合ったに過ぎない者にそこまで信頼をおくことは容易なことではない。このように、被告の違法な削除要求に対して、原告が信頼できる第三者を探し出してまで、自己が被る損害を回避しなければならない理由はない。
また、被告が主張する方法によっても、キャラクターの名前、称号・ステータス、スキル、使用言語、プライベート・ファームなどをもう一方のキャラクターに移行することはできない点からも被告の主張は失当である。
[第十七頁~第十九頁]— 被告のゲーム空間管理権の行使が権利の濫用-1
1.被告が本件キャラクターを長期間放置していることについて
       
被告が本件キャラクターを削除したのは作成されてから2年近く経過した後である。原告は、キャラクター登録の際に「Gestapo」との名称を登録することができた時点で「Gestapo」との名称が本件利用規約に違反しないと考えていたが、その後も2年近くの長期に渡り課金し、その間、被告からキャラクター名称について何らの規約違反の主張がなされなかったことから、本件利用規約違反がないことをさらに確信するに至った。
このような原告の信頼は法的保護に値するものであり、その後、一旦キャラクター登録を認めた被告が、、キャラクターのレベル等が十分に上昇した段階において突如として「Gestapo」が本件規約に違反するとして削除することは、ゲーム空間管理権の濫用であるとともに禁反言の法理からも許されない。また、かかる事情は、本件削除行為に極めて強度な違法性が認められる一要素ともなる。
これに対して、被告は、広大なゲーム空間を常時監視することは不可能であると主張するが、被告が不適切な行為として例示する各種行為と異なり、被告が「他のユーザーが嫌悪感を抱く」名称をキャラクターの名称とすることを禁止したいのであれば、キャラクター名入力フォームで登録禁止用語として指定すれば足り、キャラクターの名前が不適切かについて被告が常時観察する必要はない。
また、被告は平成20年6月19日に本件キャラクターが「Gestapo」という名称を使用していることを始めて発見してから速やかに対応しているなどとも主張する。
しかしながら、電子承諾通知の到達時期は相手方が通知にかかる情報を記録した電磁的記録にアクセス可能となった時点をもって到達したものと解され(準則Ⅰ-1―1 2.(2))、現実に相手方がその内容を了知している必要はない。原告が本件キャラクターを作成したのは被告の主張によれば平成18年9月10日であるが、原告がキャラクター登録画面で完了ボタンをクリックした段階(乙3画面1-8)で被告のサーバに記録されるから、その時点で被告は本件キャラクターの電磁的記録に対してアクセスが可能となっており、意思表示が到達されたものと扱われる。
また、本件キャラクターのデータは常に被告サーバ内に保存されていたのであるから、被告は原告が本件ゲームをプレイしているか否かを問わず、常時、本件キャラクターの名称を確認することが可能であった。
したがって、本件キャラクターの名称を「Gestapo」にする旨の原告の意思表示が到達した平成18年9月10日から2年近くも黙認又は放置した後に削除した被告の行為は、到底迅速な対応とはいえない。
[第十九頁]—被告のゲーム空間管理権の行使が権利の濫用-2
2.被告がナチスドイツを連想させる他のキャラクターを放置していることについて
被告は、本件ゲーム内で、「SS」(甲20の1、甲20の2)や「ゲーリング」(甲21の1)、甲21の2)、「ヘス」(甲22)というナチスドイツを連想させるキャラクター名を付したキャラクターを放置している。
これに対して、被告は、「SS」はイニシャル、「ゲーリング」、「ヘス」は人名であり一義的にナチスドイツ関係者を連想させるものではないと主張する。
しかしながら、少なくとも「SS」、「ゲーリング」は第一次的にはそれぞれナチス親衛隊、ナチス指導者を意味することは明らかである(甲36)。特に「SS」は、ドイツにおいては例え地域の頭文字と重なっても使用できない用語であり、ハーケンクロイツと並び最も強くナチスドイツを連想させる用語である(甲13)。さらに、被告が主張するように「SS」等が他の用語を指すと解する余地があるというのであれば、「Gestapo」も「Gestapo666」というバンド(甲14、甲15)の略称等を指す余地があるから、「SS」、「ゲーリング」、「ヘス」が許容され、「Gestapo」が禁止される合理的理由は存在しない。
このように被告が他のナチスドイツ関連用語を付したキャラクターを放置しながら、殊更に本件キャラクターのみを削除したという事情も、被告のゲーム空間管理権の濫用の一事情となると共に、本件削除行為には極めて強度な違法性が認められる。
[第二十頁]—被告のゲーム空間管理権の行使が権利の濫用-3
3.被告が原告からのキャラクター名の照会に応じないことについて
本件規約には、規約に違反するキャラクター名の個別的な記載どころかキャラクター名が本件規約に違反する場合があること自体についてすら全く記載がない。また、キャラクター登録画面における入力フォームでは被告が予め特定した使用禁止文字と既に登録された名称以外の入力が可能となっている。したがって、利用者としては自己のキャラクター名が本件規約に違反するかを知るためには被告に対して個別に照会する以外に方法がないところ、原告が、被告に対して詳細な理由を述べた上で使用可能なキャラクター名を照会したにもかかわらず(甲41添付書類4、5、7、8、10)、被告はこれに応じなかった(甲7)。
このように自ら不明確な規約を制定し照会にも応じないなど利用者に対して規約に違反するキャラクター名の内容について全く明らかにしないまま、突如、キャラクター名が規約に違反すると主張して削除するという被告の対応も、ゲーム空間管理権の濫用の一要素であるとともに、本件削除行為には極めて強度な違法性が認められる。
[第二十頁~第二十一頁]—被告のゲーム空間管理権の行使が権利の濫用-4
4.被告がナチスドイツの顧客吸引力を利用していることについて
被告は、「ヨーロッパ戦線」、「提督の決断」シリーズにおいてナチスドイツに関する標記を多用している。
しかしながら、ゲームのテーマとして第二次世界大戦を選択したり、ナチスドイツを登場させる必要性もない。少なくとも、「ヨーロッパ戦線」「提督の決断Ⅳ」で利用者が枢軸軍側でのプレイができる(甲17の2、甲17の3、甲18の2)ようにする必要性は全くない。被告が、多数の近代の戦争のうち第一次世界大戦やベトナム戦争などではなく敢えて第二次世界大戦をゲームのテーマとして選択しナチスドイツを登場させているのは、それが利用者の需要に沿うからであり、被告は「ヨーロッパ戦線」等においてナチスドイツの顧客吸引力を利用していると評価されても止むを得ない。
被告が一方でナチスドイツの顧客吸引力を利用しつつ、他方で原告に対してナチスドイツの秘密警察を連想させる「Gestapo」との名称を禁止することは、矛盾挙動であり、ゲーム空間管理権の濫用の一要素であるとともに、本件削除行為には極めて強度な違法性が認められる。

支援者・地裁での第5回出廷—その2

[第二十一頁~第二十四頁]— 被告の行為がプロバイダ責任制限法の趣旨に反することについて
通常のインターネットサービスプロバイダ(以下「ISP」という。)は、自己の権利を侵害されている者から削除の依頼が来た場合には、たとえ、「発信者」との規約上、ISPの裁量によりいつでも情報を削除し得るとの条項が存在する場合であっても、独断で直ちに送信防止措置を採ることはしない。
この場合、ISPは、プロバイダ責任制限法3条2項2号の免責を受けるべく:
(ⅰ)権利を侵害されたと主張する者に対して情報を特定するよう求める
(ⅱ)侵害されたとする権利及び権利侵害の根拠を示した書面を記載させた上
(ⅲ)発信者に対して、削除要求の対象となっている情報と権利侵害の根拠を配達記録郵便等により通知し
(ⅳ)発信者から7日以内に削除に同意しないという申出を受けない場合に初めて送信防止措置を採る。
(ⅴ)送信防止措置も、技術的に可能な限り、権利侵害を防止するために必要な限度にとどめ、
(ⅵ)事後に送信防止措置を採った旨を発信者に対して通知する
のが通常の対応である。
ところが、被告は、本件ゲームの利用者のいずれからの申出もないにもかかわらず、独断で、本件禁止条項に違反すると判断しており、上記(ⅰ)、(ⅱ)に相当する事情は何ら存在しない。また、(ⅲ)のような配達証明郵便はもちろん原告側に記録が残る電子メールですらなく、画面上に一瞬表示されるに過ぎない警告を表示するにとどまり、その内容も、本件禁止条項が示されているのみでなぜ規約に違反しているのかなどの理由が全く記載されていないばかりか、一方的に原告自ら削除しない限り被告が削除することが断言され、「OK」ボタンしかなく原告が内容の交渉することはもちろん、承諾しない自由もない。
さらに、被告は、キャラクターの名称のみの変更が技術的に可能かつ容易である(甲35)にもかかわらず、本件キャラクター全体を削除している((ⅴ))。
しかも、被告は原告に対して、本件キャラクターを削除した旨の通知すら行なわず、原告が本件キャラクターでゲームをプレイするために課金することを防止する措置((ⅵ))も採られていない。
このように被告の対応はISPがプロバイダ責任制限法上の免責を得るために通常行なう手続に比べて極めて不十分である。
この点、被告は、本件規約において事前の通知は要求されていないとし、また、自己がプロバイダ責任制限法上の「特定電気通信役務提供者」に該当しない、第三者から削除要求を受けたため送信防止措置を採ったことに基づく損害賠償請求の場面ではないとの理由により、プロバイダ責任制限法が参酌される余地はない旨主張する。
しかしながら、一部解除の場合に事前の催告を要しないとの本件禁止条項は消費者契約法10条により無効であるから、事前の催告を要する。
また、被告のように自らのサーバを利用してゲーム利用というサービスを提供しているコンテンツプロバイダもプロバイダ責任制限法2条3号の「特定電気通信役務提供者」に該当するから(甲37、甲38)、自己がプロバイダ責任制限法上の「特定電気通信役務提供者」に該当しないとの被告の主張は明らかに誤っている。
さらに、本件ゲーム内でキャラクターに名前を付した利用者は同法2条4号の「発信者」に該当するので、キャラクター名が第三者の権利を侵害するものであり当該第三者から送信防止措置を講ずるように要求があった場合には、プロバイダ責任制限法3条2項2号の適用が問題となり、通常のISPであれば、発信者と削除要求をした第三者の両者からの責任追及を回避するため上記(ⅰ)ないし(ⅵ)の手続を講じる。これに対して、本件キャラクターの名称のように何ら特定の他人の権利を侵害するものではなく、わいせつ物陳列のような刑法上の犯罪を構成するものでもない場合には、被告は送信防止措置を採らなかったからといって誰からも責任追及される立場にはない。
にもかかわらず、今回の被告のような手続で十分であると判断されるのでは、プロバイダ責任制限法3条2項2号の適用が問題となる場面と比べて著しく不均衡であるばかりか、発信者と権利を侵害されたと主張する者の両者から責任を問われる可能性があった特定電気通信役務提供者に一定の免責を認めたプロバイダ責任制限法の制定趣旨に著しく反する。したがって、キャラクター名が特定の個人の権利を侵害せず第三者から削除要求も受けていないのであれば、それが存在する場合以上に、発信者である原告に対して十分な照会手続をとるべきであり、第三者から削除要求を受けていないとの一事でプロバイダ責任制限法の趣旨が全く参酌されないとの被告の主張は失当というほかない。
被告の対応が「特定電気通信役務提供者」の対応としていかにあり得ないかは、ISPが必要な送信防止措置をとらなかった場合に権利を侵害されたと主張する者から訴訟を提起された事例に関する裁判例がプロバイダ責任制限法施行の前後を問わず多数存在するのに対して、本件のように送信防止措置をとったために発信者側から責任追及された事例に関する裁判例は見当たらないこと、したがって、ISPがプロバイダ責任制限法3条2項の手続をとった上で送信防止措置を講じたか、そもそも送信防止措置を採らなかった場合が圧倒的に多いため、発信者との間で紛争が生じることがほとんどないことからも明らかである。
被告は、自らが「特定電気通信役務提供者」に該当することの自覚すら欠き、通常のISPが行なう対応に比べて極めて不十分な手続により原告の権利を侵害しているのであるから、被告の主張するゲーム空間管理権の濫用であると共に、本件削除行為には極めて強度な違法性が認められる。
[第二十四頁]— 被告の債務不履行
原告は、本件使用許諾契約に基づき、本件ゲームの著作物の使用形態として、自己が育成したキャラクターを使用する権利を有するとともに、被告は、本件使用許諾契約において、利用者が育成したキャラクターのデータを適切に記録し保護する義務を負う。ところが、被告は上記のように本件禁止条項に違反する事実が何ら存在しないにもかかわらず、故意に本件キャラクターを削除したのであるから、被告には本件使用許諾契約上の義務に違反する重大な違法行為がある。
[第二十四頁~第二十五頁]— 被告の不法行為
被告の本件削除行為は、原告の本件キャラクターの使用権を侵害するに留まらず、表現の自由(憲法21条1項)という国民の基本的人権を侵害する行為である。すなわち、原告が格好いいプレイヤーを目指すべく「Gestapo」との名称を気に入り、内心活動の一環として外部に表示し使用する権利も表現の自由により保障されるところ、本件削除行為は原告の表現の自由を侵害する。
そして、表現の自由(憲法21条1項)は自己の人格を発展させるという個人的な価値(自己実現)等を有する権利であり、国民の基本的人権のなかでも最も尊重されなければならない重要な権利である。
なお、憲法の人権規定は私人間においても民法1条、90条、不法行為に関する諸規定等の適切な運用を通じて間接的に適用される(三菱樹脂事件最大判昭和48年12月12日民集27巻11号1536頁参照)のが原則であるが、被告が東証一部上場会社であるのに対して原告が個人であること、本件ゲームは被告が作成・運用するものであり、本件ゲーム空間内の利用者に対して国家的立場に立つことから、被告の利用者に対する本件ゲーム空間内での人権侵害行為に対しては、憲法の人権規定が直接適用されるか、少なくとも、人権侵害行為に該当することにより被告の行為の違法性の裏づけが強化される。
さらに、
①        キャラクター名称の変更を選択しうる被告が名称変更を認めずキャラクター自体を削除することは原告の本件ゲームを利用する機会を奪うに等しい重大な影響を及ぼすものであること
②        いったん登録を認めたにもかかわらず、長期間黙認放置しキャラクターのレベル等が十分に上昇した段階において突如行なわれていること
③        他のナチスドイツを連想する用語を用いたキャラクターを放置し、殊更に原告のみに対して課していること
④        被告が自ら不明確な規約を制定しながら、キャラクター名として使用できる用語の照会に応じないなど再度の紛争防止に向けた処理を怠っていること
⑤        被告が一方でナチスドイツの顧客吸引力を利用しつつ原告に対してはナチスドイツを連想させる表現を禁止するという矛盾した行動をしていること
⑥        通常のISPの行う送信防止措置に比べて、手続的にも極めて杜撰であること、特に削除した事実について原告に通知せず、原告が本件キャラクターを再度プレイするために誤って再課金することを防止する義務を怠り返金もしないこと
などから本件削除行為は強度の違法性を有するものであり、不法行為を構成する。
[第二十五頁~第二十六頁]— 原告の損害-1.財産的損害
オンラインゲームのアイテムは、現実世界において現実世界の売買の対象とされていること(リアルマネートレーディング)などから財産的価値を有することは明らかである。高松地判平成18年11月17日の判例も、オンラインゲーム上のアイテムを詐取する行為について刑法上の詐欺罪の成立を認定している。また、キャラクターのレベル、スキル等キャラクターから切り離して譲渡することができない場合であっても、本件ゲームの利用者の中には、他者に対価を支払ってキャラクターの育成を代行させる者が存在しその育成代行を業として行なっている者も存在することなどから、本件ゲームのキャラクターのレベル、スキル等自体にも財産的価値が認められる。
そして、本件キャラクターの財産的価値を現実世界の金銭で評価すると、育成代行業者に依頼して育成する場合の見積額が120万円乃至144万円である(甲6)。ただし、被告は本規約15.(c)、(i)、(r)、18.などにより育成代行行為を禁止しているため、本規約に同意した上で原告自身が本件キャラクターと同様のキャラクターを再度育成するための費用を計算すると、原告が現時点で本件キャラクターと同様のキャラクターを再度育成するためには1800時間以上を要すると思われること、かつ、原告の給与は1時間当り3000円以上であるから、当該費用は540万円を下らない(甲41(20頁)添付書類19)。岡山地判平成14年11月12日(甲39)は、代替性のない電子データの消失に関する損害について、復旧に要する時間に時間当たりの単価を乗じた額を損害額として認定している。
以上より、本件キャラクターの財産的価値は540万円を下らないが、原告はその一部として120万円を請求する。
[第二十六頁~第二十九頁]— 原告の損害-2.精神的損害
原告は被告の債務不履行又は不法行為により以下のように精神的苦痛を受けた。その精神的苦痛を慰謝するための金額は150万円を下らない。岡山地判平成14年11月12日は代替性のない電子データの消失について、電子データの修復費用のほかに精神的苦痛に対する損害額として100万円を認定しており、電子データの消失事案においても慰謝料が認められ得ることは明らかである。
(1)原告の権利が憲法上の基本的人権に基づくこと
被告は、原告の自己のキャラクターに「Gestapo」と命名し外部に表示する表現の自由を侵害した。
また、原告は反民主主義的思想を有する者ではないが、特定の思想を有することを理由として不利益又は差別を受けない権利は思想・良心の自由、平等原則により保障されている。
そして、原告が、電子メール、内容証明郵便等で再三にわたり、被告に対して、思想・良心の自由等を侵害する旨の主張をするとともに削除の具体的理由の説明を求めた(乙10、甲41(添付書類4、5等))のに対して、被告は、予め明確な方針の下で削除したのであればその説明は極めて容易であるにもかかわらず、平成21年2月20日付第1準備書面の提出まで、原告の思想を理由にキャラクターを削除したものではないという削除の具体的理由の説明がなされることはなかった。
このような被告の対応により、原告は自己がナチスドイツの思想を有する者と決めつけられ、かつ、当該思想のみを理由として本件キャラクターの削除という不利益を課された結果、思想・良心の自由を侵害されたものと感じ、同時に、信条を理由として不平等な扱いを受けたと感じた。
このように、原告が現に侵害され、また侵害されたと感じた権利は表現の自由(憲法21条1項)、思想・良心の自由(憲法19条)、平等権(憲法14条1項)という極めて重要な権利であり、国家に匹敵する機関である被告からの人権侵害行為に対して原告は多大な精神的苦痛を受けた。
(2)原告が本件キャラクターを努力の結果育成したものであること
原告は、キャラクター名に関して憲法上の人権を侵害されたに留まらず、自己が2年近くかけて育成した本件キャラクターのデータをも削除された。原告は長時間を費やし努力の結果育成したものであり、今後も本件キャラクターを継続してプレイする予定であったが、本件削除行為により、二度と本件キャラクターで本件ゲームをプレイすることが不可能となった。このように原告にとって非常に愛着のあるキャラクターを削除されたことにより、原告は極めて大きな精神的苦痛を受けた。
(3)被告の対応
原告は、本件削除行為後の以下の被告の対応についても大きな精神的苦痛を受けた。
まず、原告は、再三にわたり詳細な理由を述べた上でその説明を求めると共に、使用可能なキャラクター名を問い合わせたのに対して、被告は「あらかじめご案内はいたしておりません。」、「利用規約に抵触するかどうかは、お客様ご自身でご判断いただくものとなります。」(甲7、甲41(添付書類9))などと回答した。このような一旦トラブルになった利用者に対する更なるトラブルを避けるための最低限の努力すらしないことを表明する被告の対応に対して原告は大きな精神的苦痛を受けた。
また、本件禁止条項該当性自体について被告が基準を示さないばかりか、被告が利用者のキャラクターを自己の裁量でいつ何時でも削除することができるとの対応を示したこと、被告が平成20年11月13日に制定した「大航海時代 Online」サービス利用規約が、その制定時期からして、本件削除行為に関する紛争を契機として制定されたと考えられ、これにより利用者がさらに不利な立場に置かれると考えられたことなどから、原告は、いつ何時被告からもう一方のキャラクターや自己が新しく作成するキャラクターを削除され、またはユーザ登録自体も取り消され、本件ゲームを利用することが出来なくなるのではないかという危惧感を有するようになった。
(つまり、被告コーエーはいつでも契約の新制定、改訂ができ、あらゆる今日までは「合法のこと」を、明日にでも「違法」にして、垢バンできるわけです)
さらに、原告がキャラクター名として「Gestapo」を使用することが本件禁止事項に該当することの具体的な説明を求めても(甲8)、被告は通じて「具体的に説明すべき必要性はない」旨の回答(甲9)をし、訴訟外で全く対応する意思がないことを表明した。
かかる対応は、一消費者にすぎない原告が大企業である被告に対して訴訟により対応することを強いるものであり、原告は、訴訟の準備のために更なる時間・費用を費やすことを強いられた。原告が被告との交渉及び訴訟のために費やした時間・費用は莫大なものであり、原告は被告のかかる対応のため極めて強い肉体的・精神的ストレスを受けた。
(4)その他の事情
本件削除行為が、いったん登録が認められ長期間黙認されキャラクターのレベル等が十分に上昇した段階において突如行なわれたこと、他のナチスドイツを連想する用語を用いたキャラクターを放置し、殊更に原告のみを削除対象としていること、被告が削除後の通知を怠った結果、原告は本件キャラクターを使用するつもりで再度課金していること、サーバの故障などではなく削除自体について被告に故意があり、しかも、Rescue会議のメンバーら原告の多くの知人が被告から合理的根拠のない処分を受けたため、原告自身を含め、他の原告とは無関係である大勢の利用者から、すでに被告に対して再三抗議したにもかかわらず、被告は全く反省することなく原告に対しても同様に合理的根拠のない処分をしたことについても、原告は極めて大きな苦痛を受けた。
[第二十九頁]— 原告の損害-3.弁護士費用
原告が上記の損害を回復するために支出した弁護士費用は30万円を下らない。
以上。