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<第6回出廷原告最終準備文面>概要

<第6回出廷原告最終準備文面>概要 第6回法廷での被告光栄側の答弁に対する最終反論。 [第一頁~第二頁]本禁止条項の拘束力について 被告は、スクロールしなくて同意ボタンがクリックできても、十分に明瞭でわかりやすい規約であると主張するが、そもそも注意書きの部分でも、「以下の規約をお読み下さい。」と記載されているに過ぎず、また、スクロールバーもみにくく、さらに、スクロールボックス内に表示されている規約が「…義務を有しない」と文章として完結している形で終わっていることなどから、規約内容はそこで終わっていると利用者に錯覚を与える可能性があり、とても明瞭とはいえない。 さらに、本件規約の内容の殆どが一方的な免責条項であり、本件使用許諾契約の本質とは無関係な部分である。したがって、本規約が存在しなくても、原告が一定の利用料を支払い本件ゲームを使用し、被告は、原告の使用を受忍するとともに育成したキャラクターのデータを保存する義務を負うという内容の本件使用許諾契約自体は当事者間に意思の合致があるものとして有効に成立するから問題ない。 [第二頁]本禁止条項は明らかに消費者の権利を制限している 被告は、「本件ネットワーク利用規約による措置は、…契約関係を終了させるものではないから契約解除ではない。」等と主張する。 しかしながら、被告の主張によれば、被告が利用者の利用資格を停止せずに全てのキャラクターを削除し、その利用者にとって新規に登録する場合と同様の状態となっても(一部)解除に該当しないことになるが、このような取扱は、自己が育成した特定のキャラクターを本件ゲーム内で継続して使用することができるといった本件使用許諾契約の本質的特徴を看過するものであり、このような消費者契約法の潜脱的行為を認めないためにも、「公の秩序に関しない規定」(消費者契約法10条)との比較は不要、または、利用者が他のキャラクターの作成が可能である場合でも契約の一部解除に該当すると解すべきである。 [第二頁~第三頁]本禁止条項は消費者契約法にも、民法信義則にも反する 被告は、本件禁止条項は信義則に違反しない限りにおいて被告の裁量を認める規定であるから、信義則に反せず消費者契約法10条によっても無効とならないなどと主張する(被告第3準備書面6頁)が、循環論法であり、かかる解釈によれば消費者契約法10条により無効になる条項が存在しなくなる。 消費者契約法10条は、消費者契約の条項の文言上、「民法第一条第二項に規定する基本原則に反して」に該当すれば無効となるとする規定であるところ、本件禁止条項は「信義則に違反しない限り」との文言が存在しないから、消費者契約法10条により無効となる。なぜなら、被告は自己の制定する規約を消費者契約法上無効にならないように規定することが可能であったから、あえて消費者契約法上無効になるような包括的な不当条項を定めた場合の不利益を被っても酷とはいえず、また、包括的な不当条項を裁判所がぎりぎり有効な範囲で効力を維持するのであれば、包括的な不当条項が横行し、不当条項に異議を唱えない大多数の消費者に不利益をもたらすからである。 さらに、被告は、「大航海時代Onlineサービス利用規約」(甲41添付資料17)において「本契約の一部が、消費者保護法令の強行規定部分により効力を有しないとされる場合でも、その他の部分はこれに反しない最大の範囲で効力を有するものとします。」との規定を置いている。かかる規定の有効性自体が疑問であるが、少なくとも被告は本規約においてこのような救済規定を容易に制定できたのにあえて制定していない以上、本件禁止条項が信義則に違反しない限り裁量を認める趣旨であったとしても、消費者契約法10条により無効となる。 なお、原告は念のため、本件禁止条項は、消費者契約法10条と同様の理由(原告第2準備書面3~4頁)により信義則にも違反することを主張しておく。 [第三頁~第四頁]コーエーの裁量権について 「他のユーザーに何らかの不利益・迷惑等を及ぼす」かは裁判所により客観的に判断可能であるので、取締役の善管注意義務違反の判断の際に用いられる経営判断の原則のような議論は妥当しない。時間・費用をかけて裁判所による客観的判断を要することが非現実的な対応であるとする被告の主張は、裁判制度の否定に等しい主張である。 仮に被告の裁量が認められるとしても、本件削除行為は、円滑かつ快適なゲーム空間運営のために認められる被告の裁量の範囲を逸脱するものであり、違法である。 [第四頁]gestapoの名称は、本件ゲーム内の世界観と調和している。 被告は、本件ゲームの海賊行為が、殺傷行為の描写等がなくいわば「海賊ごっこ」に過ぎず、たとえばテーマパークにおける海賊に関するアトラクションが設置されている場合と異ならないなどと主張する。 しかしながら、海洋法に関する国際連合条約105条、平成19年ころから問題となっているソマリア沖の海賊等の存在などに鑑みれば、「海賊」という名称及び海上戦の描写自体からテロ、虐殺などの残虐行為、違法行為を連想させる。また、被告は本件ゲーム内で、「大海戦」と称してプレイヤーの所属する国家の威信を賭けて闘う大規模な海上戦を定期的に主催するなど、利用者の残虐行為を扇動している。 さらに、本件ゲームの海賊行為が「海賊ごっこ」に過ぎないのであれば、本件キャラクターも他の利用者にとってみれば、「ナチスごっこ」または「戦争ごっこ」をしているキャラクターに過ぎず、たとえば、漫画やアニメでしばしば見られるナチスドイツを連想させるキャラクターのような存在に過ぎない。 被告が、現実世界の重大な違法行為であり、かつ近時の国際問題ともなっている海賊行為を本件ゲーム内では「ごっこ」と称する一方、現実世界では完全に適法な「Gestapo」との名称使用を、過去にナチスドイツ秘密警察が行なったとされる虐殺行為を持ち出して使用を禁止することは恣意的解釈というほかない。 しかも、被告が主張するように本件ゲームにおいて残虐性が排除されているのであれば、本件キャラクターはいかに残虐な行為を行ないたくても不可能であるから、本件キャラクターの名称に対して他の利用者が嫌悪感を示すことはない。 [第五頁~第七頁]被告光栄のゲーム空間管理権の範囲について 被告には利用者が誤って規約に違反する名称をキャラクターに付することのないように適正なゲームシステムを構築すべき義務の違反があるから、本件キャラクターの名称には被告のゲーム空間管理権は及ばない。 すなわち、被告は、本件ゲームの開発段階において、ゲーム空間内の世界観の設定を自由に行なうことができ、キャラクター名称を含むその世界観と調和しない表現をプログラム上禁止することができたはず。 被告は、禁止対象となり得るキャラクター名称は多種多様であり予め想定し尽すことは不可能であると主張するが、被告が、ナチスドイツなどの特定の用語の使用を全て排除したいとの明確な意図をもって本件ゲームを開発したのであれば、その世界観と調和しない用語のほとんどは事前に想定可能であり、「正規表現」等を用いることにより、自己が禁止したい用語のほとんどを登録が出来ないようにすることが可能であった。 仮にキャラクター登録段階において規約違反としたい用語を完全に排除できないとしても、被告は、キャラクター名称入力段階では仮登録とし、利用者がキャラクターを削除できない1週間の期間において目視により確認して初めて本登録を認めることとしたり、キャラクターデータのデータベースを正規表現等を用いて検索するなどの方法により、キャラクター名が規約違反に該当するか否かを容易かつ早期に確認し得た。さらに、規約において使用できない名称を具体的に例示したり、キャラクター登録段階においてかかる注意書きを表示するなど、利用者が誤って規約違反の名称を付け長期間プレイすることを防止することができる立場にあった。 しかし、本規約にはキャラクター名が規約に違反する場合があることすら記載されておらず、登録禁止用語以外のキャラクター名を入力すれば登録が完了してしまい、被告に照会しても回答がないなど、利用者は、いかなる名称が規約に違反するかを事前に全く知り得ない立場にある。 被告はコンピュータソフトウェア商品の開発等を行なう東証一部上場企業であり多数の利用者から利用料を徴収して莫大な利益を上げているのであるから、本件ゲームの開発・運用に当っても、利用者が誤って規約に違反する(と被告が主張する)名称をキャラクターに付することのないように適正なゲームシステム(登録段階での入力制限などのほか規約の明確化、注意書の表示等を含む。)を構築すべき義務を負うところ、これを怠り、利用者が規約違反の用語をキャラクター名として入力し、それを継続使用することを放置しているのであるから、一旦登録され、かつ相当期間が経過したキャラクター名称については、被告のゲーム空間管理権は及ばないというべきである。 これに対して、被告は、当該キャラクターがゲームに参加している時点において、キャラクター名称をゲームマスターの目視により違反の有無を確認する方法が適切であると主張する。 しかしながら、当該方法は入力フォームに登録禁止文字を指定する手段に比べ著しく非効率的な確認方法であるばかりか、多数存在するゲームマスターの主観により利用者間の取扱いに不公平が生じるし、本件のように登録後長期間経過後に削除されるという不当なことが行なわれることから、目視による確認では上記義務を果たしたことにはならない 。 また、被告の主張によれば、ゲームマスターの目視による監視がゲーム内の規約違反行為を発見する唯一の方法となるが、被告はこのような重要な役割を果たすゲームマスターをアルバイトを中心に行なわせているようであり、極めて不適切である。 なお、被告は、「ゲームシステムにおいて通常の操作としてできる行動は、プレイスタイルとして認められます。」との記載について、特定のキャラクター名称の使用はプレイスタイルとは異なると主張する。 しかしながら、被告がプレイスタイルをゲーム空間での振舞い方に限定する根拠はない。ゲーム空間でどのような振舞いをするかを考慮してキャラクター名を設定する利用者も存在し、ゲーム空間での振舞い方が自由である以上、当然にその振舞い方に合わせたキャラクター名を設定することもプレイスタイルとして自由である。また、原告がキャラクター名入力フォームに「Gestapo」と入力してキャラクターに「Gestapo」との名称を付した行為は、バグ(プログラムにおける誤り)などを利用した操作ではなくプログラム上当然に可能な操作であるから通常の操作の範囲内の行為であることは明らかである。 [第七頁~第八頁]被告の行為がプロバイダ責任制限法の趣旨に反する 被告は、原告が主張する各種対応をとらずとも送信防止措置を採ることを可能とするため規約を設けるのがISPの実務上の対応であると主張するが、原告の主張を誤解または曲解するものである。被告の行為は通知をすることもなく独断で送信防止措置をとり、後に、規約を楯にして免責を主張することは通常のISPの対応との比較からあり得ないものである。 また、被告は他のユーザーからクレームを受ける可能性が存在すると主張するが、削除要求はもちろんクレームを受けたわけでもない被告は第三者と発信者との両者から責任を追及される立場にない。このような被告の独断による送信防止措置について免責を認めるとすればプロバイダ責任制限法の制定趣旨を著しく没却する。 [第八頁~第九頁]キャラクターデータが金銭的評価の対象となること 被告は、本件ゲームにおいては育成代行、リアルマネートレーディングが禁止されているから金銭的な評価の対象とならないと主張する。 しかしながら、育成代行、リアルマネートレーディングは、利用者と被告との間で規約(仮に有効であるものとする。)上禁止されているに過ぎない。リアルマネートレーディングはゲーム運営会社の規約に違反している場合であっても、私法上は有効であり、売主は買主に対して代金請求をなし得ること、本件ゲームでキャラクターの取得したレベルやアイテム等はこれにより本件ゲームをプレイできる幅が広がる等の利益があること、現実世界において本件ゲームを含めオンラインゲームのアイテム等が盛んに取引されており、育成代行業者も存在することなどから、オンラインゲームのレベル・アイテム等には財産的価値が認められる。そして、本件キャラクターのアイテム等はリアルマネートレーディング等により得たものではなく原告自らが育成して得たものであるから、被告に対する関係でも財産的価値が認められることは明らかである。 なお、被告は、高松地判平成18年11月17日が有料アイテムの詐取が問題となった事例であり、有料アイテムが存在しない本件ゲームには妥当しないと主張する。 しかしながら、高松地判平成18年11月17日で問題となったオンラインゲーム「メイプルストーリー」は通常プレイが無料、特殊なアイテムのみに課金する形態であるところ、本件ゲームは通常プレイ自体が有料であるから、本件ゲームの通常プレイにより得られたアイテム等にはすべて財産的価値が認められる。 [第九頁~第十頁]本件キャラクターを再度育成する場合に要する時間について 被告は、乙18を提出し、原告の本件キャラクターのプレイ時間が約156時間に過ぎないと主張する。 しかしながら、被告の当該主張は、訴訟のより早い段階で容易に主張・立証し得たにもかかわらず、弁論終結直前に至り始めて主張されたものであり、その提出時期が不自然不合理であり、被告内部の情報でもあることから、その信用性は認められない。 しかも、原告は本件キャラクター単体の実際のプレイ時間が約1800時間と主張したことはなく、従来より再度育成した場合にかかる時間を1800時間以上と主張していたものであり、被告が主張する本件キャラクター単体でのプレイ時間は損害賠償の額とは何らの関係も有しない。本件キャラクターの所持していた各種レアアイテムは、他のキャラクターから直接または間接的に譲り受けたものが大多数を占めており、本件キャラクター単体のプレイ時間と本件キャラクターの財産的価値とは比例するものではない。 また、原告が本件キャラクターでプレイしていた当時は、被告は本件ゲーム内で多数のイベントを行なっており参加すればレアアイテムを簡単に取得できたこと、ゲーム内の他の利用者と協力することができたことなど有利な条件があったのに対して、現段階で原告が再度プレイする場合にそのような有利な条件はなく、むしろ、本件ゲーム内は、原告が本件キャラクターを作成した初期のころと比べ、利用者の増大等によるゲーム内通貨のインフレが進み、アイテムの取得やレベルの上昇等が困難になっており、原告が本件キャラクターを作成してプレイしていた当時と比べ、同様の状態のキャラクターを育成することは格段に困難になっている。 したがって、本件キャラクターの財産的価値は、540万円(1800時間×3000円)、少なくとも育成代行業者の見積額の下限である120万円を下らない。 なお、被告は、本件ゲームの月額利用料が1575円に過ぎないことから原告の請求は過大であるとも主張する。 しかしながら、月額利用料は常に1575円ではなく、様々な料金体系があり、利用料の料金体系により同一のキャラクターの財産的価値が異なるのは不当である。また、同一期間利用料を支払いながら、最強の状態のキャラクターが削除された場合と初期状態のキャラクターが削除された場合との損害額が同一であるというのも明らかに不当である。本件ゲームの本質的特徴は育成したキャラクターを半永続的に(本件ゲームでは一般の家庭用ゲームの『クリア』という概念はない。)、継続して使用するものであり、キャラクターの育成により得られるいわば労働的対価は全て利用者に帰属するから、被告が利用料以上の損害賠償義務を負うことは当然である。さらに、削除について被告に故意が認められ不法行為も成立するような本件の事案において被告の損害賠償義務が利用料に限定される根拠は何ら認められない。 [第十頁~第十一頁]原告の権利が憲法上の基本的人権に基づくこと 被告は、本件ゲームが表現の場ではないこと、「Gestapo」との命名が本件ゲームの機能の一部を利用したに過ぎないことから、表現の自由に基づくものではないと主張する。 しかしながら、表現の場で行なわなければ表現の自由の保障対象とならないという主張が誤りであることはもちろん、被告の主張によれば本件ゲームの機能の一部を利用することにより画面上に表示される全ての表現(チャットにおける会話や被告の表現行為であるはずのゲーム世界内の風景等の描写)が表現の自由の保障対象とならなくなり、明らかに失当である。 また、原告の訴訟外における思想・良心の自由を侵害する旨の主張に対して、これを積極的に否定せず単に削除の根拠条項のみを挙げたに過ぎないことから、原告は、自己をナチスドイツの思想を有すると決めつけ、思想を理由として不利益を課したと感じたものである。 […]

第6回法廷での被告光栄側の答弁

2009年7月8日に法廷が開かれる直前の6月30日に、被告側代理人から、法廷の準備文書を原告側、そして裁判所に送付した。 ~第6回法廷での被告側の答弁~ 本文部分は計35ページ分、他目次・証拠品あり [第一頁~第三頁]—光栄の規約は明瞭に表示されていることについて 1・準則では、インターネットの利用規約をスクロールに関係なく、有効と承認しており、よって、本規約は有効で拘束力のある規約である。 2.原告の提出した文献も「スクロールしなければ無効である」という趣旨ではなく、あくまで「スクロールをしないと同意ボタンがクリックできないのは、最も厳格な手続きである」と示したに過ぎない。 よって、光栄のいずれの規約も、完全明瞭であり、消費者は簡単に理解できる内容で、また、何ら消費者に不利な内容は含まれていない。 [第三頁~第四頁]—本規約は消費者契約法に違反していない その1 原告は依然として、現行法と比較して、本規約はいかなる「消費者の権利を制限した」と立証できていない。 確かに、原告の主張されたように、(現行法の)明文の任意規定に限らず有効である見解は存在する。 しかし、仮に原告の主張のままで本規約の内容を検討しても、消費者のいかなる権利を制限し、または消費者の義務を加重しているのかについて、原告は具体的に主張できていない。 よって、本規約は消費者契約法第10条に違反していない。 [第四頁]—本規約は消費者契約法に違反していない その2 本件削除事件は、契約の部分解除ですら当たらないことについて 本件キャラクターGestapoを削除したとしても、原告には、もう一方のキャラクターでプレイを 続行することもできる上、さらには新たにキャラクターを作成して、プレイすることも可能であることから、本件削除事件は原告に対しては、全く影響はなく、 契約の解除に当たらないばかりか、一部解除にすら当たらない。 契約の解除ではないので、民法540・541条などに比較するのは明らかに誤りである。民法540・541条と比較できないことから、当然消費者契約法第10条にも違反しない。 [第五頁~第六頁]—本規約9(2)(b)は民法の信義則に反していない 本規約9(2)(b)は、光栄が任意にサーバ内のあらゆるデータの削除する権利を有すと規定してある。これは何ら非合理的な要素はない。 サーバは、光栄の私有物であり、公衆の財産ではない。本件ゲームのユーザは、「規約に同意する」という条件の下で、光栄の私有財産であるサーバにアクセス して、プレイが許されるわけであり、この私有財産内(私有地)のあらゆるデータとルールは、当然光栄には絶対的裁量権があってしかるべきである。光栄が自 らが嫌う行為や人間を排除するのも、当然の権利である。 また、本件ゲームは不特定多数の人間が同時にゲームを進行するMMORPGであり、これだけ多くの人たちがどのような違反をするのかを事前に予測するのは不可能であり、すべての違反行為を事前に列挙しなければ禁止することはできないというのはナンセンスである。 よって、この状況において、光栄はもちろん「ある程度包括的で規範的な記載」をするしかなく、その規定の仕方には、被告光栄に裁量が認められるのも、当然である。 現に、美術館、図書館などの不特定多数の人間が利用する施設において、運営を円滑に進めるために、不適切行為を包括的に禁止している。例えば「他の利用者に迷惑をかけないでください」など。 加えて、本件ゲームの秩序を維持するために、光栄は迅速に違反行為を差し止める必要があり、そのための規約の解釈や適用などについて、裁量権が認められなければならない。 ただし、被告に規約の解釈適用についての裁量が認められるとしても、それは「無制限」ではありえず、契約の解釈原理でも信義則に反するものであってはならない。 しかし、本規約9(2)(b)の「データの任意削除権」・「削除の事実等をユーザに通知しない権利」なども、包括的に規範的な記載をしたに過ぎず、また、本件削除事件の裁量も、民法の信義則に反しない範囲での裁量であるため、違法ではない。 信義則に違反していないのだから、当然消費者契約法第10条にも違反しない。 [第六頁~第七頁]—本規約15(g)も民法の信義則に反しない 上記9(2)(b)と同じ理由で、15(g)もあくまで「包括的に規範を記載した」に過ぎず、また、今回の光栄の行為はすべて民法信義則に反しないことから、民法も、消費者契約法にも反していない。 ※ 上記9(2)(b)や15(g)に対する主張は、「規約内容自身」は、包括的に禁止事項を記載しても違法ではないから、当然民法の信義則に反 していない、しかし、その後の裁量と運用は、光栄の私有地であるため、光栄は絶対的権力を持つのは当然であり、「無限大の権限はない」と主張しつつも、実 際「無限大の権限を行使しても、法律の管轄の範囲に当たらない(=光栄は自らのあらゆる行為をすべて民法信義則に反しないと一方的に主張している)」と主 張しているのです。 [第七頁~第九頁]—その他原告の指摘された部分のいずれも、違法性はない 1.原告は、光栄は一方的に部分解約してはならないと主張しているが、そもそも本件削除事件は、部分解約に当たらないので、的外れである。 2.原告は、光栄の規約は、事実上判断の合理性を問わず、何時でも自らの裁量であらゆる処分ができ、当事者間の公平をあまりにも害すると主張する が、しかし、規約の条文自身は包括的な規範の記載のみで、何ら違法性はなく、またその後の裁量は光栄の私有地であるため、光栄の判断でよいのであり、何ら 違法性はない。 3・原告は「誤バン・冤罪も含めて、光栄に任意にデータを削除してよいとの規約解釈を通常同意することはありえない」と主張するが、しかし、光栄の裁量はいずれも信義則に反しておらず、利用者に不当に不利であるとはいえないため、利用者の合理的意思に反するわけがない。 4.原告は本規約内に、「疑い」「当社が判断した」など、基準が極めて不明確の文言が多数入っており、規約違反するかどうかをユーザが予見できな いと主張するが、光栄の規約の文言はいずれも明確であり、利用者が理解できないわけがなく、よって、利用者が規約違反を予見できないなどの不利益を与える とはいえない。 5.原告は、光栄の他の規約内容も、ほとんど自らの責任逃れのための免責事項であると主張するが、これらの規約内容は、本件裁判とは関係がなく、論じるに足りない。 6・原告は、プレイするためには、同意ボタンをクリックする以外方法はなく、また規約に対する異論もできないと主張するが、光栄は、一度たりともユーザにプレイ・契約締結することを強要しておらず、嫌なら、利用者は本件ゲームを利用しない自由があるのだから、原告の主張は、法律とは全く関係がない。 7.原告は、光栄は大企業であり、原告とは比べ物にならないほど、法律的知識や経済力、社会地位などに、優位に立っていると指摘しているが、これも、法律違反するかどうかとは、全く関係がない。 以上からでもわかるように、原告のいずれの主張も、民法信義則や90条などとは、全く関係がなく、被告はいずれの法律にも違反していない。 [第九頁~第十頁]—本件規約の適用について、「錯誤」がないことについて 原告は、「本規約に同意とクリックした≠光栄を神として認めた」とは違うので、「錯誤(→原告は同意した≠光栄は神、しかし、光栄の解釈は、同意 した=光栄は神であるから、これについての解釈の違いがあるから錯誤がある)」があると主張するが、しかし、本件ゲームのユーザは、規約全体を包括的に承 諾しているため、錯誤は存在しません。 [第十頁~第十一頁]—本件削除行為を行う権限は、規約から付与されたものであり、違法ではない、そして、規約違反の判断基準 原告は、規約違反しているかどうかは客観的第三者である裁判所が判断すべきと主張しているが、それではあまりに非現実的である。 よって、光栄が規約から付与された権限で、独自に判断するのが、最も現実的で合理的である方法である。 何よりも、光栄はもともと「現実的危険性でない、抽象的(潜在的)危険性」に対しても、規約違反として処断する権利を有する。そして、与えられなければならない。 […]